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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、需要環境悪化で150円割れ

連載 2020-03-30


マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=150円の節目水準まで軟化する展開になった。新型コロナウイルスの影響で自動車販売、生産が大きく落ち込む中、タイヤ向けゴム需要の落ち込みが強く警戒されている。3月24日安値は146.30円に達し、2016年7月以来の安値を更新している。

 上海ゴム先物相場も1トン=1万元の節目を割り込み、9,000元台後半で上値の重い展開になっている。

 新型コロナウイルスは世界的な広がりをみせており、各国で感染拡大を防止するための移動制限、企業活動停止などの、強硬な対策がとられている。この結果、新車販売の急激な落ち込みは避けられない状況になっている。中国の2月の新車販売は前年同月比で8割減少したが、今後は世界各地で同様の動きが広がりを見せる可能性がある。

 こうした中、自動車メーカー各社は従業員の感染被害防止と需給調整のために、自動車工場の生産を一斉に停止し始めている。北米、欧州、日本などはもちろん、新興国でも工場停止の発表が相次いでおり、自動車市場は販売のみならず生産にも大きなダメージが生じている。

 日本自動車工業会の豊田章男会長は3月19日の定例会見において、「こんなに世の中変わるのか」と状況の変化に驚きを見せているが、今後の見通しが立たない状況に危機感を示している。このまま新型コロナの影響で外出規制が行われ、消費者マインドの改善が実現しない場合には、需要がどこまで落ち込むのか分からない状態に陥ることになる。

 タイ中央ゴム市場では、季節要因から集荷量が減少し始めている。ただ、3月26日時点の現物相場は、USSが前週比2.7%安の1キロ=38.94バーツ、RSSが同1.8%安の40.89バーツと、低迷している。大きな値崩れは見られないが、産地主導で安値修正を進めるような動きは見られない。

 東南アジアでも新型コロナウイルス対策で外出規制などの動きが始まっており、タイでは非常事態宣言も発動されている。外国人の入国規制といった動きもあり、生産地で労働者の確保や収穫、輸送、在庫、輸出などの業務に影響が生じる可能性もある。このため、突然に供給が止まるリスクも想定しておく必要があるものの、現時点では潜在的なリスク要因との評価に留まっている。

 専ら需要サイドのリスクを織り込む形で急落した相場だが、ここにきて供給サイドのリスクも浮上し始めているのが現状である。需要環境がどこまで悪化するのかと同時に、安定的な供給環境を確保できるのかにも注意を払う必要性がある。 

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