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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、パンデミックで今年最安値

連載 2020-03-16


マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=160円水準まで下落する展開になった。3月10日安値は155.20円に達し、昨年10月7日以来の安値を更新している。

 上海ゴム先物相場は1トン=1万元台中盤まで値下がりし、中心限月ベースでは2018年9月以来の安値を更新している。

 新型コロナウイルスの感染被害が更に広がりを見せる中、実体経済減速のリスクを織り込む展開が続いている。世界保健機関(WHO)は3月11日に「パンデミック」を表明し、世界各地でイタリアやイランにみられるような深刻な感染被害が広がるリスクを警告している。連日のように感染者は数的にも地理的にも広がりを見せており、天然ゴムに関しても、どこまで需要が落ち込むのか分からないとの不安心理が広がっている。

 2月の中国新車販売台数は、前年同月比79.1%減の31万台に留まっている。販売店の多くが休業や営業時間の短縮を迫られている。また、社会不安から消費者マインドは自動車などの耐久財を購入する環境ではなくなっている。

 中国の経済活動は徐々に正常化し始めているが、今後は世界各地で中国市場にみられるような新車販売の落ち込みが報告される可能性が高まっている。ヒトの移動そのものが制限される中、買い替え用タイヤ需要環境にも不透明感が強く、需要がどこまで下押しされるのか分からないとの恐怖心が、ゴム相場を下押ししている。

 しかも、3月6日の石油輸出国機構(OPEC)プラスで追加減産を巡る協議が決裂した結果、原油相場が急落している。NY原油先物相場は2016年2月以来の安値を更新しており、合成ゴム価格の値下がりを巡る思惑も、上値圧迫要因になっている。

 一方、産地集荷量はやや抑制されているが、大きな変動はみられない。新型コロナウイルスが産地でも広がりを見せると、生産に影響が生じる可能性もあるが、現時点では潜在的なリスクに留まっている。タイ中央ゴム市場の現物相場は、3月12日時点でUSSが前週比2.1%安の1キロ=41.47バーツ、RSSが同3.2%安の43.45バーツ。消費地相場との比較では産地相場は高値水準を維持しているが、産地主導で消費地相場を押し上げるまでのエネルギーはみられない。

 新型コロナウイルスの消化が優先される地合が続くことになる。各国の財政政策や金融政策による景気刺激策が評価されれば、株高・原油高・円安から安値修正に向かう可能性はある。一方、このまま景気減速懸念を織り込む地合が続くと、150円の節目割れが打診される展開になる。

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