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連載コラム「白耳義通信」42

「日本式の挨拶推奨?」

連載 2020-03-16

 日本は桜の開花の声がチラホラ聞こえてきた頃でしょうか。世界的流行をしているウィルスの話題を吹き飛ばすような何か明るい話題とでも思ったのですが、仕事や観光でベルギーを訪れられる方もいらっしゃると思い、日本では情報の少ないであろう現在のベルギーの様子をお伝えします。

 2月の時点では対岸の火事だったのですが、イタリアで最初の感染者が確認された後、あれよあれよという間にヨーロッパ中に拡大。もはや他人事とはいえない状況に入ってきました。

 3月13日に開かれた国家安全保障会議の決定により、4月3日までウィルス感染拡大防止措置が取られています。具体的には、学校の休校、カフェ・レストランの閉鎖、規模を問わずコンサート・フェスティバルなどイベントの中止、美術館・博物館・図書館の閉館、遊園地・動物園の閉鎖、スポーツジムの閉鎖、宗教的行事の禁止などです。

 但し、スーパーや薬局は平日のみ開店。美容院は予約のみ受付。公共交通機関は動いているものの、必要な時のみ推奨とされています。病院は重篤な状態のみ来院が可能で、診察、手術は行われません。

 と、細かい部分まで感染拡大防止対策が取られています。詳しくは「ベルギー公衆衛生省」や外務省の「海外安全」ホームページをご覧ください。尚、イタリア、スペインでは非常事態宣言が発表されていますが、ベルギーはそこまで至っていません。

 では、市民の生活に目を移してみます。日本では「マスクとトイレットペーパーが店から消えた!」と話題になっていますが、ここベルギーでも店から消えたものが何点かあります。水、パスタ、パスタ・ソース、トイレットペーパーです。缶詰も少なくなってきています。これらの商品から分かることは、明らかに買いだめと思われます。パスタはイタリア製のものが多く入って来ていますので、全土で移動制限が掛かっているイタリアからの輸入を心配してのことでしょうか。

 未だにマスクを手に入れるのが難しい日本ですが、ここベルギーではそもそもマスクをする習慣がないので、心配はないと思われます。寧ろ、こちらで売っているマスクは薄い紙に細い糸が付いたようなマスクなので、付けたとしても効果のほどを心配してしまいます。しかしこのような事態ですから、これから街中でもマスクをしているベルギー人を見るようになるかも知れません。

 薬局で手に入れにくいのはアルコールジェルです。公衆衛生省が推奨しているように、積極的で十分な手洗いで当面は凌ぐしかなさそうです。

 インフルエンザなどウィルス感染症が流行ると言われるのが、挨拶の仕方。ベルギーでは男女問わず、頬と頬を重ねるビズ(bise)が普通なので、日本のような「お辞儀」がこれから流行るかも?

【プロフィール】
 末次 克史(すえつぐ かつふみ)

 山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。

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