【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、上海主導で3カ月ぶり高値
連載 2019-11-04
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=170円台前半まで値上がりする展開になった。特段の新規材料は見当たらないが、上海ゴム相場が安値からの切り返しを見せる中、東京ゴム相場もつれ高している。8月2日以来となる約3カ月ぶりの高値を更新している。
上海ゴム先物相場は、1トン=1万2,000元の節目に抵抗を受けて10月下旬は上値の重い展開になっていたが、月末を前に改めて1万2,000元台を回復する展開になっている。
米中通商協議に関しては、11月の合意文書署名が危ぶまれるなど、通商環境の改善期待を織り込む動きは一服している。中国政府は、追加関税の発動見送りのみならず、既存の関税措置の一部撤回を要求していると報じられており、合意文書署名までは当初考えられていたよりも時間が掛かる可能性がある。また、合意文書署名の場として想定されていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は、開催国チリの治安悪化で中止が発表されている。
また、中国の10月製造業PMIは前月の49.8から49.3まで低下し、6カ月連続で50ポイントを割り込んだ状態にある。内需低迷や貿易戦争の影響が強く窺える数値になっている。中国経済は10-12月期入りした後に、下振れ圧力が強くなっている。
しかし、上海ゴム相場はこうしたネガティブ材料を無視する形で押し目買い優勢の展開になっている。9月は1万2,000元台前半に抵抗を受けて10月8日の1万1,330元まで急反落していたが、11月はこのまま1万2,000元台にコアレンジを切り上げるのか、再び同水準で抵抗を受けるのかが焦点になる。
東南アジアではタイ北部、カンボジア、インドネシアのジャワ島などで乾燥傾向が報告されているが、全体としては適度の土壌水分が確保されており、天候リスクの織り込みは要求されていない。
タイ中央ゴム市場ではUSSの集荷量が安定しているが、RSSの集荷量が若干落ち込んでいる。現物相場はUSSが1キロ=37.58バーツ、RSSが39.46バーツであり、ともに目立った動きを見せていない。東京ゴム相場は上海ゴム相場主導で上値追いの展開になっているが、産地相場は大きな値動きを拒否した状態が続いている。
なお、10月25日に東京ゴム先物は10月限が納会を迎えたが、納会値は9月限から18.10円安の147.10円となり、2018年11月限以来の安値を更新している。期先限月は上海ゴム相場主導で堅調だが、当限は150円台前半から中盤で若干の底固さを見せる値動きに留まっている。
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