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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、底固いが伸び悩む展開

連載 2018-01-22



マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、1月16日の取引で1キロ=216.30円まで上昇して昨年9月28日以来の高値を更新するも、その後は戻り優勢の展開になり、再び210円台前半まで下押しされている。結果的に、明確な方向性を打ち出すには至っていない。

 上海ゴム相場が1トン=1万4,000元水準を下値に底固く推移する中、東京ゴム相場も底固い展開が続いている。ただ、その上海ゴム相場も積極的に上値を試すような動きは見せておらず、1万4,000元台中盤では早めに利食い売りを進める動きが目立ち、明確な方向性を打ち出せていない。結局は1月も昨年12月の取引レンジを踏襲しているのみであり、底固いものの伸び悩む展開が続いている。

 引き続き、需給動向に対する関心は低い。国内では在庫急増圧力が報告されており、全国営業生ゴム在庫は昨年10月10日時点の5,302トンに対して、12月31日時点では1万2,267トンまで倍増している。ただ、25日の納会に向けて当限主導で売り込むような動きはみられない。在庫余剰感は着実に強くなっているが、僅かに当先で順サヤ(期近安・期先高)が形成されている所に、その影響が確認できる程度である。

 北半球は全般的に厳しい寒さに見舞われているが、東南アジア地区の気象環境に大きな問題は生じていない。週間降水量はタイ北部からカンボジア、ラオスなどで減少傾向にあるものの、インドネシアやマレーシアでは週に25-100㎜程度の降雨が観測されており、通常の土壌水分環境が確保されている。パーム油やコメなど、農産物生産全体が適温と適雨に恵まれ、産地相場は安定している。特に産地主導でゴム相場が大きく変動するような動きはみられなかった。

 中国の国内総生産(GDP)は10-12月期が前年同期比6.8%増となり、2017年通期では6.9%と10年以来の高成長を記録している。ただ、この種の経済指標も殆ど材料視されておらず、売買テーマが定まらずにトレンド形成ができない時間帯が続いている。

 季節要因からはウインタリング(落葉期)を迎えるため、期先主導で値上がりし易い環境にある。しかし、上海ゴム相場は売買テーマを設定できない時間帯が続いており、マーケットでは中国マネーが上海ゴム相場の1万4,000元割れを促すのか、それとも1万5,000元台乗せを促すのか、瞬間的な投機マネーの動向ばかりが注目されている。

 目先は1カ月半にわたり膠着状態が続く上海ゴム相場に動きが見られるか、25日の納会前後に東京ゴム相場に期近主導で大きな動きが見られるか注目される程度である。

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