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新型肺炎 深刻さ増すゴム関連企業への影響

従業員の確保や物流など問題山積-長期化ならゴム薬品の調達を危惧

その他 2020-02-17

 新型コロナウイルスによる肺炎の広がりが衰えを見せない中、ゴム関連企業への影響も深刻さを増している。当局の方針に従い、2月9日まで操業を停止していた中国の日系ゴム関連企業の工場は10日以降、徐々に稼働を再開したものの、本格生産には程遠い状況だ。従業員の確保、物流、サプライチェーンと問題が山積している。生産への悪影響は、日本も含め中国以外の地域へ波及してきている。長期化の様相を呈してきた中、一部原材料への懸念も浮かび上がってきた。

 「今は従業員の出社がなかなか難しい状況だ」。2月13日、2019年12月期の決算説明会を行った住友ゴム工業の山本悟社長は、中国生産拠点の現状についてそう話した。タイヤを生産し、10日から稼働を再開した同社の湖南工場も、従業員の出社率は6割強にとどまるという。

 状況は他社も同様だ。ブリヂストンは従業員の確保が難しいことを理由に、10日の段階では新品タイヤを生産する4工場(瀋陽、天津、無錫、惠州)の生産再開を延期していた(13日時点では、無錫は11日から部分的に再開、天津は11日から出荷のみを再開)。また、2月14日に開催された2019年12月期決算説明会の席上、横浜ゴムの三上修取締役専務執行役員は「杭州、蘇州工場は従業員の確保が難しく操業まで厳しい状況だが、コンベヤベルトを生産する山東工場は従業員も比較的確保できており、再稼働の準備を進めている」と語った。

 従業員を確保できない要因が、他地域へ移動した人が帰宅できないことと、帰宅できても当局の方針による14日間の自宅待機。加えて、自動車メーカーの稼働状況、滞った物流も影響し、工場の稼働率が上がらない。ある関係者は「稼働率は10日の週で3割、17日の週で5割いけば良い方だ。外部環境含め、全てがうまく運んで3月上旬に通常稼働に戻ると言う人もいるが、それは難易度が高すぎる」と話す。

 物流の停滞も深刻だ。生産した製品の出荷だけでなく、原材料の入荷も不確実。前述の関係者は「工場の従業員と同様の理由で、トラックの運転手が確保できない。それに加え、省を跨いで物を動かせないのが痛い。物流が止まると手の施しようがない」という。

 長期化は、日本国内や中国以外の他地域の生産にも大きな影響を及ぼす。国内自動車メーカーの中には、部品調達難により国内工場の稼働を停止した企業が出てきた。

 ゴム関連では原材料確保が大きく懸念されている。最も危惧されているのがゴム薬品だ。

 関係者は次のように話す。「ポリマー、カーボンブラック、オイルは中国からの出荷が滞っても、日本国内で調達できる。もちろん、重要保安部品に使われている場合は認証の問題も出てくるが、こと調達だけで見れば可能だろう。

 問題はゴム薬品だ。ゴム薬品の中には、中国に頼っているものも少なくない。中国から調達できない状況が長期化すれば、日本国内のゴム製品の生産にも大きな影響が出る。春節前に在庫を積んでいたため、流通在庫も含め、日本国内に2~3カ月くらいの在庫はあるだろうが、それ以上長期化するとどうだろう」

 また、別の関係者は「日本国内ももちろん深刻だが、メキシコを含めた米国のインパクトは、もっと大きいのではないかとみている。それら地域のゴム薬品の調達は、日本以上に中国に依存している」と話す。
 

業績への影響も

 業績への影響は未知数だ。悪影響を避けることはできないが、現状では数字として表せない。原材料メーカー関係者は「終息のメドが立たないうちは、業績への影響を算出できない。ただ、確実に言えることは、春節期間も含め、少なくとも1カ月以上工場が通常操業できていないということ。さすがにリカバリーできない」という。

 新型コロナウイルスによる肺炎の影響は、企業のコントロールできないところにある。影響がこれ以上深刻さを増さないよう、ウイルスの終息を願うしかない。

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