アンモニア燃料船にTruck to Ship方式で実施
レゾナック、世界初となる使用済みプラスチックをリサイクルしたアンモニアを燃料用途で供給
原材料 2024-07-18
レゾナックは、日本郵船が世界初の商用アンモニア燃料船として8月下旬に竣工する予定のアンモニア燃料タグボート(A-Tug)に、レゾナック製の環境性能の高い低炭素アンモニアを供給した。
供給したアンモニアは使用済みプラスチックをリサイクルして製造したものを使用しており、使用済みプラスチック由来のアンモニアを燃料用途で供給するのは世界初となる。
A-Tugへの燃料アンモニア供給は、横浜市港湾局の協力のもと、横浜港本牧ふ頭で実施された。Truck to Ship方式での船舶への燃料アンモニアの供給は世界初。供給に先立ち、日本郵船、JERA、レゾナックをはじめとした関係者は協議を重ね、供給に関わる安全な運用方法の確立、港湾地区への安全な輸送・受け入れ体制の構築に取り組み、世界初となる燃料供給作業を安全かつ円滑に完了した。
アンモニアは燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出しないため、地球温暖化対策に貢献する次世代燃料として注目されている。A-Tugに供給するレゾナックのアンモニア「ECOANN(エコアン)」は、家庭や企業からゴミとして排出される使用済みプラスチックを原料の一部に使用して「プラスチックケミカルリサイクル」により製造している。
レゾナックで製造するアンモニアは、製造過程で化石燃料や化石燃料由来のエネルギーを使わないことで「CO2排出80%強削減」を実現している。
レゾナックは、1931年に川崎事業所で日本最初の国産技術を使ったアンモニアの生産に成功して以来、90年以上にわたり日本のアンモニアの安定供給に貢献してきた。長年蓄積したノウハウを活かして、低炭素アンモニアを安定的に製造し、船舶まで安全に輸送提供していく。
レゾナックの川崎事業所(神奈川県川崎市)は、2003年から使用済みプラスチックを水素やアンモニアなどの化学品原料にリサイクルする「プラスチックケミカルリサイクル」(同社では「川崎プラスチックリサイクル[KPR]」と呼称)を実施している。
使用済みプラスチックを原料に、高温でガス化し分子レベルまで分解して水素とCO2を取り出している。定常運転中に化石燃料をまったく使用しない。ここで取り出された水素の一部は近隣プラントで化学原料向けや水素ステーションで燃料電池自動車向けに活用される。
そのほかは主にアンモニアの原料になり、合成繊維、合成樹脂、化学肥料、薬品などに使われる。一方のCO2は大気中に放出することなくグループ会社でドライアイスや炭酸飲料、医療用炭酸ガス向けの原料に使用される。KPRは、ガス化ケミカルリサイクルを20年にわたって安定運転している世界で唯一のプラントとなっている。
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