東京港区の航空会館で
日本ゴム精練工業会、研修会を4年振りに開催
原材料 2023-11-28
日本ゴム精練工業会(畑中康平会長=角一ゴム工業社長)は11月17日、東京港区の航空会館で「第6回研修会」および「懇親会」を開催した。研修会などの開催は、コロナ禍の影響もあり4年振りとなる。
冒頭畑中会長が「コロナ禍の期間を含めて、環境保全や労働衛生面への関心が高まっており、ゴム業界を取り巻く各種法令なども変わりつつある。そこで今回は、最新の各種規制などに関しての知見を有する企業や団体に講義をお願いした」とあいさつした。
まず「サーキュラーエコノミー(CE)と世界の潮流~樹脂とゴムのサーキュラー~」と題して、同会正会員である日東化工の親会社エンビプロ・ホールディングス中作憲展環境推進事業部担当常務が講演した。講演の中で中作氏は、CEに積極的に取り組んでいる欧州の動向に関して説明した。中でも2023年7月13日には欧州委員会によるELV(End of life Vehicle)規則案として、新車への再生プラスチック利用目標25%(2030年)が提案され、これはゴム業界に関連すると説明。これに基づく経済産業省の動向や、国内でも近年大手タイヤメーカ―がCEの道筋を示すようになってきたと説明があった。
中作氏はCEについて、「CEでは、市場に一度投入された製品は徹底的に使い回され、製品としての利用価値がなくなった時点で再資源化される。資源は高度リサイクルにより再生資源材料としてサプライチェーンに供給されるとともに、エネルギー回収など、資源循環の補完的な手法で価値の流出が最小化される」と語った。
最後に日東化工と東洋ゴムチップが連動したサーキュラーモデルとして、両社連携でカーボンフリーな生産スキームを構築してゴムのCE実現が可能となり、カラーゴムチップやゴムシートなど多くの製品が提案されていると説明した。
続いて「今後の化学物質管理とリスクアセスメント~2024年4月の本格施行に向けた準備~」に関して、中央労働災害防止協会の構健一安全管理士・衛生管理士が講演した。
まず「化学物質管理規制見直しの流れ」として①2021年7月/化学物質規制について新たな考えを提言②2022年5月/新たな化学物質規制を省令改正③2023年4月/改正省令の一部施行(記録作成、容器保管時の強化他)④2024年4月/改正省令の一部施行(責任者選任、事後措置他)――という過程の説明があった。
化学物質規制の見直しの「基本的事項」として、①労働安全衛生法の規制対象物質を大幅に拡大②国による技術基準の整備が進行中③リスクアセスメントに基づき措置を考える④事業場に化学物質の人的資源を整備――を挙げた。さらに「技術的事項」として、①濃度基準値が示される物質がある②保護手袋や保護眼鏡をして作業をする原則③特別則の第三管理区分は直ちに改善措置――を挙げた。この「基本的事項」や「技術的事項」に該当する事項がゴム業界にあるかを例を挙げて説明。「化学物質管理規制見直し」に対応するには、「まずはリスクアセスメントの実施から」が重要と説明した。
リスクアセスメントは、2016年以降労働安全衛生法で義務付けられており、重要項目として、①取り扱う化学物質の危険性や有害性を把握②社内で化学物質取り扱い状況を把握③リスクアセスメントに基づき措置を考える――を挙げ、各項目ごとに事例を交えて説明した。
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