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【新年インタビュー】JSR小柴満信社長

「ユーザーがグローバルである限りサプライチェーンもグローバルであるべき」

原材料 2017-01-06


 ■変革が求められる四日市
 日本のマザープラントである四日市工場は、日本のタイヤ生産が漸減傾向で推移しているため、変革が必要です。四日市工場で生産している製品の一つにESBR(乳化重合スチレンブタジエンゴム)がありますが、世界的にみてそれほど供給過剰ではありません。競合他社に比べて生産能力が大きく競争力がありますが、国内需要が縮小する中では再編を考える必要があるかもしれません。また、四日市工場は操業を開始してからおよそ60年が経過しています。次の60年のためにこの10年をかけて抜本的な安全対策や老朽化した設備の撤去などに取り組んでいく必要があると思っています。

 ■他社との連携
 機会があれば他社との連携も視野に入れています。しかし、日本の国が競争力を保つには他社との連携が絶対に必要だと思っています。ただ、連携といっても企業対企業だけではなく、もっと広い視野で、例えばコンビナート内での連携という選択もあります。こちらの方が実現しやすいのではないでしょうか。定期修理を減らして連続運転期間を延ばすことが出来れば生産性が向上します。その為には予防保全の技術を高めていくことが必要です。 ただ、これは一社だけで進めていくのは困難で、それぞれのコンビナートの協力があって初めてできることだと思います。技術革新は日々ものすごい速さで進んでいます。連携なくしてはその速さに対応することはできません。

 ■2017年のキーワード
 2017年も引き続き『欧州の不安定さ』がキーワードになると思っています。16年は年初からブリグジット(英国のEU離脱)の可能性が世の中で取りざたされ、実際に起こりました。また、米国のドナルド・トランプ次期大統領が今後どのような政策をとってくるのか分かりませんが、それでも17年は米国よりも欧州の不安定さがカギになってくると思っています。いわゆる『政高経低』で、政治が世の中を振り回しています。

 ただそうはいっても、当社の各セグメントのモーメンタム(勢い)は良好です。中国の自動車生産の動向は懸念材料ですが、エラストマーは14-15年がボトムだと思っているので、16年以降は回復基調で推移すると思います。エラストマー関連の大きな投資は終わりましたので、あまり無理をしないで情勢を見ながら舵を取っていきます。17年に当社は創業60周年を迎えます。

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