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【新年インタビュー】JSR小柴満信社長

「ユーザーがグローバルである限りサプライチェーンもグローバルであるべき」

原材料 2017-01-06


 「ユーザーがグローバルである限り、サプライチェーンもグローバルであるべき」と語るJSRの小柴満信社長。従来の製品視点から用途視点への組織再編を行い、グローバル化を加速させる小柴社長に今後の取り組みなどを聞いた。

 ■2016年のJSR
 2016年上期(4-9月)業績は良くありませんでした。エラストマー事業とディスプレイ材料事業が苦戦した一方で、SSBR(溶液重合スチレンブタジエンゴム)や半導体材料の販売数量は伸びました。また、ライフサイエンス事業が拡大して、第3の柱として立ち上がってきました。特に下期では減価償却前の営業利益(EBITDA)がブレークイーブンにいくのではないかと思っています。社長就任以来、何年もかけてさまざまなことをやってきましたので、課題については良いところに来ることができたのではないかと思っています。

 ■用途に特化した組織再編
 16年6月に「タイヤ材料部」を設置するなど、創業以来はじめて用途に特化した組織再編を行いました。当社は国策会社として合成ゴムの製造を開始しました。マーケットを与えられ、そこに良いものを作って納めればいいという形でやってきました。ここのところずっと思っていたのですが、エラストマー事業は“自ら市場を開拓する”という視点が少し弱いと思います。ユーザーは材料が欲しいわけではなく、タイヤとしてちゃんと機能するものが欲しいのです。単に高性能なエラストマーを売るのではなく、タイヤ市場が何を求めているのかという視点に考えを変えていかなければなりません。

 また、SSBRのグローバル展開も重要です。国内タイヤ生産は減っている一方、SSBRはグローバルに需要が拡大しています。それに適応していかなくてはいけません。また、単に売るだけではなく、当社のエラストマーをどのように使うかというサポートも含めて取り組んでいく必要があります。そういう意味で組織再編を実施しましたし、グローバルの営業体制も変えています。

 SSBRは間違いなくグローバルで戦える製品ですので、製造・販売・技術の連携体制をしっかりと構築する必要があります。

 ■SSBRでグローバルトップ目指す
 当社で扱っている他の製品と違い、原料の一つであるブタジエンの調達が非常に重要になります。SSBRは世界シェア2割がひとつの目標です。そのなかでいかにユーザーのニーズに対応できるものを出していけるかがカギになります。JSRのゴムでユーザーからの厳しい要求に応えていかなければなりません。

 ■拠点の立ち位置
 SSBR事業はグローバルにビジネスを展開していかなければなりません。それには世界中どこにおいても同様の品質のものを安定的に供給していく必要があります。そのため、タイに続いてハンガリーに生産拠点を設立します(18年に稼働予定)。ユーザーがグローバルである限りはサプライチェーンもグローバルであるべきですし、ブタジエンの供給不安がありますので、ブタジエンの調達先を多様化していくことも必要不可欠です。

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