【特集】合成ゴム
宇部興産、マレーシア 計画通りの増強目指す
原材料 2016-12-15
宇部興産の17年3月期上半期(4―9月)におけるBR(ブタジエンゴム)事業は、円高、原料安の影響があったものの、概ね予算をクリア。このままの状況で推移できれば通期でも予算をクリアできる見通しだという。
日本の製造拠点である千葉、タイの製造拠点である「タイ・シンセティック・ラバー」(TSL)は、ともにフル生産フル販売で推移。「日本は、タイヤ用途はほぼ横ばい、非タイヤ用途は全体的には微増で推移した。一方、TSLではタイヤサイドウォールなどに使用されるVCR(ビニルシスラバー)の生産が増えている」(松尾典秀化学カンパニー合成ゴムビジネスユニット長)という。
15年6月から商業運転を開始したマレーシアのBR合弁会社「ロッテ・ウベ・シンセティックラバー」(LUSR)は、「主要顧客の承認取得が進んでおり、生産が軌道に乗り始めた。来年はしっかりと実績を出し、計画通りに増強したいと考えている」(同)。
苦戦を強いられていた中国・南通工場は、BRと合弁企業であるTSRC(台湾)の持つ乳化重合スチレンブタジエンゴム(ESBR)を共に顧客に訴求することで、ローカルメーカーでも販売が広がり、稼働率が若干改善してきているという。
米国への展開については、「タイヤ市場は順調に伸びており、マーケットとしては魅力的なので、今後のあり方を検討している。現状、米国向けはそれほど量が多くはないが、VCRは少しずつ伸びている。チャンスはあると思っているので、輸出先としてはしっかりと伸ばしていきたい」(同)という。
今後の課題については、「タイヤにはこれから省燃費+αが必要になる。BRでは例えば生産性に寄与するものであったり、耐久性に寄与するものであったりと、+αで求められる性能に応えることのできる製品の開発を進めていきたい。また、人材の確保も重要。販売だけでなく、研究・開発の分野でも世の中は複雑になってきている。会社を引っ張ってくれる人材の確保は最重要課題」(同)という。
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