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【特集】合成ゴム

JSR、今期のSSBR 販売量15%増目標

原材料 2016-12-14

 JSRの17年3月期第2四半期(4―9月)業績におけるエラストマー事業は、販売数量が前年同期比5%増、売上高が同8%減、営業利益が同55%減となった。販売数量は増加したが、円高や原料安の影響を受けたことで、売上高および営業利益は減少した。

 第2四半期のSSBR(溶液重合スチレンブタジエンゴム)の販売数量は同15%増と順調に推移した。タイの生産拠点「JSR BST エラストマー」が寄与した。「アジア地域でのエコタイヤ製造の活発化を背景に、タイは第1期がフル生産・フル販売となり、販売数量は同40%程度増加した。現在、第2期についても承認作業を行っている最中。今年度中には第2期も本格稼働を開始する予定」(山脇一公上席執行役員・石油化学系事業副担当石化副事業部長)という。

 同社は今年6月、「タイヤ材料技術開発センター」、「SSBR事業推進部」を新設。また、エラストマー部を「タイヤ材料部」に改称し、TPE(熱可塑性エラストマー)部の一部機能を移管。4月にはスイスにあった支店をタイヤメーカーが集積しているドイツ・デュッセルドルフに移転し、現地法人化するなど、SSBR販売強化のための組織再編を実施した。

 「SSBRに特化した組織再編は当社の歴史でも初めて。グローバルに戦える製品であるSSBRをグローバルに売っていくのが基本スタンス。先々の経済状況が不透明だが、とにかく自社製品を確実に広げていく」(同)。

 今期のSSBR販売数量は前期比15%増を目標にしている。

 同社は現在、ハンガリーにSSBR生産拠点の建設を進めている。18年に立ち上げる計画で、建設は順調に進んでいるという。日本、タイ、ハンガリーの3極体制を早期に構築する方針だ。

 同社が第4世代と位置付けるSSBRは、販売の中核となっており、ハイエンド向けに好調に推移している。また、第5世代については、マーケティングの最中で、一部では採用が決まっているところもあるという。

 「中国ではラベリング制度が19年に法制化し、欧州では21年にCO2排出制限が一段上に切り替わる見通し。こうしたエコタイヤ需要のチャンスを着実に取り込んでいく」(同)。

 SSBRに求められる性能については、「低燃費性能への要求が一段落し、耐摩耗性能への要求が高まっていたが、欧州でのCO2排出制限などを控え、再び、一段上の低燃費性能をユーザーから要求されている。この要求に応えられるグレードの開発を、新組織を通じて進めていきたい」(同)という。

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