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【素材の先端】

デンカの「Evolmer」、動的環境下での耐久疲労性が大きな特徴

原材料 2019-04-09

 デンカの「Evolmer(エボルマー)」は、クロロプレンゴム(CR、商品名:デンカクロロプレン)、デンカER(エチレン・酢ビ・アクリル酸エステルの共重合体)に次ぐ、同社にとって第三の機能性エラストマー。CR、デンカERで培ってきたエラストマー技術と高度な重合技術を融合し開発、2019年に上市する。

「Evolmer(エボルマー)」


 

機械的強度、耐油性なども優れる、HNBRとNBRの中間領域をカバー

 機械的強度、耐油性、耐摩耗性、ガスバリア性に優れることに加え、動的環境下における耐久疲労性が大きな特徴といえる。耐油性ゴムに位置づけられ、水素化ニトリルゴム(HNBR)とニトリルゴム(NBR)の中間領域を狙い開発した。「HNBRではオーバースペックで高コストだが、NBRでは性能が不足し、HNBRを使わざるを得ない製品がある。そうした領域において、耐久疲労性の高さを強みに動的環境下での素材代替を目指している」(阿部靖エラストマー・機能樹脂部門エラストマー部技術担当部長)。耐熱性はHNBRの150度には及ばないものの、大きな特徴である動的環境下での耐久疲労性はHNBRを上回る性能を持つ。またコスト面もHNBRに比べ優位性があり、加工性も悪くないという。「Evolmerは架橋構造に規則性を持たせており、それをより均一にしていることが動的環境下での耐久疲労性の高さに結びついている」(同)。動的環境下における耐久疲労性の高さは、それを使用した製品の長寿命化に繋がる。それを武器に、HNBRとNBRの中間領域だけでなく、他の領域にも拡販を進めていく考えだ。

 用途の中心と見込むのは自動車部品。ただ、自動車部品用途では内燃機関での使用が想定されるため、評価に時間を要すことに加え、そもそも自動車部品はモデルチェンジのタイミングなど、即座に採用が決まるものでもない。そのため、工業用品での採用実績を積み重ねながら、自動車部品用途を開拓していく。工業用品では動的部分のシール、高圧ホース、伝動ベルト、ゴムロールを中心に用途開拓を進めていく。すでに数十の製品評価が進んでおり、採用に向けた動きも出ている。

 Evolmerの生産設備は青海工場(新潟県糸魚川市)に2018年10月に新設した。まず1グレードから生産し、耐油性の要求レベルに合わせグレードを増やしていく。「すでに3-4グレードは技術的に確立している」(同)。代替を目指すHNBRには、耐油性の指標として結合アクリロニトリル量が用いられ、その違いによって低ニトリルから極高ニトリルまでグレードが分かれるが、同様のイメージで耐油性によってグレードをラインアップしていく。まず生産する1グレードは、需要の多い中高ニトリルにあたる。

 販売規模は2022年に年1,500トンを目指している。「従来の販売網だけでなく、Evolmerの持つ特徴を活かし、デンカCR、ERでは販売実績のない新しいユーザーを開拓していきたい。市場のニーズを拾いながら、拡販に結びつければと考えている」(渋谷晋一エラストマー・機能樹脂部門エラストマー部長)。

 同社は経営計画「Denka Value-Up」の成長戦略の一つに基盤事業のスペシャリティー化を掲げている。Evolmerの開発もその一環にあたるが、ここに止まることなく第四、第五の機能性エラストマーに向けた開発を進めていく。

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