約40億円を投資、年間約3,000トンの使用済みポリスチレンを処理
デンカ、ケミカルリサイクルプラントが竣工
原材料 2024-03-25
デンカとその持分法適用関連会社である東洋スチレンは3月19日、デンカ千葉工場(千葉県市原市)に使用済みポリスチレンのケミカルリサイクルプラントを竣工した。投資金額は約40億円で、年間約3,000トンの使用済みポリスチレンを処理する。
ポリスチレンは、国内需要の60%以上を食品包材が占める一方で、樹脂から樹脂へと戻すマテリアルリサイクルでは、品質安全上、食品と接触する用途に再使用するのが難しいとされ、多くがサーマルリサイクルとして焼却されていた。
今回竣工したケミカルリサイクルプラントでは、使用済みポリスチレンをその原料であるスチレンモノマーに戻す。年間でおよそ1,500トンのスチレンモノマーを得ることができ、それ以外に出る不純物に関しても有効活用していく。
樹脂ではなく、その原料にまで戻すことで、得られたスチレンモノマーを再度重合し、新品同等の品質と物性を持つポリスチレンを再生産する。マテリアルリサイクルでは使用できない、着色されたポリスチレンや多少汚れたポリスチレンの処理も可能だ。得られたポリスチレンは新品同等のため、食品包材用途にも使用できる。サーマルリサイクルのように焼却しないため、二酸化炭素排出量は単純焼却に比べ40%削減できる。同社では、再生したポリスチレンのマスバランス方式による供給も検討している。
使用済みポリスチレンについては当面、食品包材工場等から出た端材を用いるが、将来的には市原市で発生した使用済みポリスチレンの使用も視野に入れる。同社は、市原市が取り組む「市原発サーキュラーエコノミーの創造」の市民・企業・行政が一体となったプラットフォームへ参画。市原市内で発生した使用済みポリスチレンの回収の仕組みづくりに着手し、消費者からの回収システムの構築を目指す。
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