塩水で発電しスマホ充電
藤倉ゴム工業が非常用マグネシウム空気電池発売
工業用品 2016-08-29
藤倉ゴム工業は、災害発生時等の“いざ”という時に水を用意するだけで電源として使用できる非常用マグネシウム空気電池「WattSatt(ワットサット)」を9月1日から発売する。標準価格は4万円。
マグネシウム空気電池は、空気中の酸素とマグネシウムを反応させることで発電する仕組みで、電池内部に電解液となる塩水を注入することで発電が始まる。塩水を入れなければ反応は起こらず、「適切な保管状態であれば、10年ほどの長期保存も可能」(水上丈太郎営業本部営業開発室副室長)となっている。
今回発売する「WattSatt」は、同社が「複数の事業領域で長年にわたり培ってきた技術により、マグネシウム空気電池のキーパーツである正極の性能を大幅に向上したもの」(同)。それにより、280Whという大容量を実現し、マグネシウム空気電池の特長はそのままに、短時間でより多くのスマートフォンやタブレットの充電が可能となった。
非常時の使用を想定しているため、使い方は簡単。本体カバーをはずしてバケツとして使用、そこに水約2リットルと同梱の塩を入れて棒(付属)でかき混ぜるだけ。溶かした塩水を本体に注ぐとすぐに発電を開始する。水はお風呂やトイレ、雨水などの汚水でも可能だ。
充電能力は、スマホならフル充電で30台、60%充電(1時間)で45台、50%充電(30分)で60台。最大5台同時に充電できるので、大人数の充電を素早くまかなえるほか、LEDランプやラジオを使用しながらの充電も可能。発電に伴う音もないので、夜間や人の集まる避難所等でも使用できる製品となっている。
同社では発売に先だち、7月中旬に東京ビッグサイトで開催された「オフィス防災EXPO」に専用ブースを出展、実物展示や使用の実演等を行い「WattSatt」を紹介した。
来場者からの反応は、「使用が簡単で長期保存も可能、省スペース(幅212ミリ×奥行き147ミリ×高さ213ミリ、重さ注水前2キロ)なことも評価され、購入についての具体的なお話を多く頂いた」(同)と上々の様子。展示会終了後も多くの問い合わせがあるという。同社ではこれらの問い合わせをフォローしつつ、官公庁・自治体や防災関連企業を中心に積極的に展開していく方針。
「WattSatt」は東日本大震災の被災企業である同社が、社会貢献を目的として開発した製品。開発、販売面における様々な課題を克服し、満を持しての発売となる。
「製造は当社国内工場の日本製で、5年間の製品保証(未使用状態での保管時)も設けているので、“いざ”という時のオフィス等の備蓄用として安心してご購入頂きたい」(同)としている。
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