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2021年3月期業績

日東化工、ゴム加工事業は固定費削減で増益

工業用品 2021-05-10

 日東化工の2021年3月期業績(非連結)は、売上高が58億3,700万円で前期比23.3%減、営業利益が3,800万円で同82.3%減、経常利益が6,300万円で同70.9%減、純利益が1,800万円で同88.0%減となった。

 「売上高は2割減、営業利益は8割減と新型コロナウイルスの影響を大きく受けて落ち込んだが、下期からは挽回し、上期の赤字から通期では各利益段階で黒字転換できた。ただ、純利益が少なかったこともあり、配当は無配に修正した」(日東化工)

 同社では2020年4月に組織改正を行い、これまでのゴム、樹脂2事業制からコンパウンド事業、ゴム加工事業に事業領域を変更した。コンパウンド事業にはゴムコンパウンドのほか成形品のクッションタイヤや樹脂事業の全てを、ゴム加工品事業にはシートやマット、クッションタイヤ以外のゴム成形品を含む。

 事業別では、コンパウンド事業は売上高が43億7,300万円で同27.1%減、営業利益が1,800万円で同91.4%減。ゴム関連では、主力の自動車向けを中心に大口受託先からの受注が大幅に目減りしたことが響いた。また、産業車両用もフォークリフト向けクッションタイヤが販売数量ベースで前期比ほぼ半減と減少。自動車向けは上期の前年同期比4割減から通期で前期比2割程度の減少まで回復したものの、産業車両用は回復が遅れている。

 一方、樹脂関連はゴムに比べ回復が早く堅調で、樹脂事業全体では増益を確保した。

 ゴム加工事業は売上高が14億4,200万円で同9.4%減、営業利益が2,500万円で同127.3%増。需要先の裾野が広いシートは、景気悪化の影響を受け減収減益。マットは公共工事案件の受注延期・停止で減収となったが、利益は固定費削減で増益となった。事業全体で販売は苦戦したが、固定費削減が利益を押し上げた。

 2022年3月期通期業績予想は、売上高34億2,800万円で前期比4.5%増、営業利益5,700万円で同49.7%増、経常利益4,700万円で同25.7%減、純利益2,500万円で同36.1%増を計画している。

 2022年3月期から適用した「収益認識に関する会計基準」により、売上高は前期より額が小さいが、前期売上高に新基準を適用した数字との比較では増収の見込み。利益面にも同様に適用し、営業利益、純利益も大幅な増益を計画している。

 「前期は固定費の削減を強力に推進したが、今期は売上高を拡大することに方針を転換する。増販増産体制を整える上で、設備面の修繕に注力するとともに、増産による時間外手当など、労務費などの必要コストも織り込んでいる。事業別では、コンパウンド事業、ゴム加工事業ともに増益を計画している。コンパウンド事業では、3度目の緊急事態宣言が出ていることも踏まえ、前期に受注が落ち込んだ大口受託先については、急激な回復は期待できないと見ている。ゴム加工事業では、シート関連の需要は多少の回復傾向、マット関連はコロナ禍で延期していた工事案件が出てくると予測している」(同)

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