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【新年インタビュー】西川ゴム工業西川正洋社長

遮音・防音シートなど音性能の開発に注力

工業用品 2017-01-17


 ■海外進出の計画
 現状では、新たな海外進出は考えていません。海外生産拠点が現状、6カ国・9拠点に拡大しているため、兵站が足りなくなっています。今後は海外拠点の中身の拡充に力を入れていきます。

 ただ、米国のトランプ次期大統領が北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しに言及していることもあり、当社としては北米の生産能力を増やすためにメキシコの増産投資を行うべきかどうか、いずれ判断を迫られることになりそうです。

 タイは新しい車種の注文が入り、シェアが増えたことで増収増益となりました。中国は微増収・微減益となりましたが、下期は反転して増える見込みです。インドネシアは増収・営業損失ですが、前年同期より損失は改善されています。

 ■製品開発動向
 当社の自動車用シール製品は、大きく①ウェザーストリップ・ドアアウター②ウェザーストリップ・ドアインナー③グラスランチャンネルと、3つの製品群があります。中でもグラスランチャンネルは、ここにきて大きく仕様が変化しており、付加価値をつけるために複雑な形状になっています。そのためカーメーカーのニーズに合わせてうまくつくらないといけませんが、“ハイリスク・ハイチャンス”でもあるので注力していきます。

 また最近、力を入れているのがドアの内張りに装着する遮音・防音シートです。こうした音性能に向けた開発は、音を測定する機器などが必要なので、研究開発投資等は膨らむ傾向にあります。今期(17年3月期)の設備投資の総額は67億円を見込んでおり、その半分は国内です。

 ■自動車の技術革新への対応
 シール製品は自動運転やEV化などが進んでも必要な部品ですので、こうした技術革新に対する危機感はありません。

 しかし、裏返すとチャンスもありません。ただ、変化があるとすればドア材が鉄板からアルミ、樹脂へと軽量化が進んでいくと、設計仕様では軽量化に対応していかざるを得ません。

 軽量化を図るためには、ドアの反力を小さくしないといけませんが、小さすぎると水や空気が漏れてしまいます。反力が大きすぎてもいけないので、こうした二律背反を克服するという妙味があり、当社ではこれを追求していきたいと考えています。

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