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医療従事者、生活者全般を応援

新型コロナウイルス対策、ゴム関連企業の‟支援の輪”拡がる

新型コロナ 2020-06-15

 新型コロナウイルス感染の第2波が警戒されるなか、ゴム関連企業の支援活動の輪が広がっている。マスクや手袋、フェイスガードといった各社のノウハウを活用した感染予防製品はもちろん、行政への寄付・寄贈、食料品の提供、ステイホームのための娯楽コンテンツへの支援など、多くの企業が医療従事者だけでなく生活者全般を対象に支援している。今回はそれらの中から一部をピックアップして紹介する。

 ■ブリヂストン
 ブリヂストンは3月10日、中国での新型コロナウイルス感染症対策に、中国子会社の普利司通(中国)投資と共同で、医療用品などの支援物資の供給や医療関係者へのサポートを行っている中華慈善総会に300万元を寄付すると発表。4月16日には国内のマスク不足緩和に貢献することを目的として、ブリヂストン、ブリヂストン化成品、ブリヂストンケミテックの3社共同で国内グループの従業員向けにウレタンを活用した簡易マスクの生産を開始すると発表した。

ブリヂストングループはウレタンマスク等を生産拠点がある各地域の自治体に寄贈した

 4月24日には医療物資が不足する医療現場への支援として、同社グループが保有する防塵マスクおよび感染対策マスク計2,071枚、雨合羽計1,200枚を発表。海外拠点においても、米国では自社生産したフェイスシールドを医療・介護施設に提供。スペインでは医療従事者向けの無料車両整備サービスの提供などを実施した。5月1日には自社生産した簡易マスクをグループの生産拠点がある各地域の自治体に合計30万枚を提供すると発表。

 グループ会社でカーボンブラックの開発・製造・販売を行う旭カーボンでは4月27日に医療従事者の感染予防のため新潟市保健所に防護服を寄付。また、就業時間内には献血やゴミ拾いのボランティア活動を行った。

 ブリヂストンは、各工場でも支援の取り組みを行っており、佐賀工場では製品梱包資材であるポリシートを活用し、従業員が経済産業省のホームページに記載されている医療用ガウンの型紙を参考に簡易防護服を生産。5月29日に簡易防護服200着とブリヂストン化成品が製造したウレタンマスク5,040枚を上峰町(佐賀県)に寄付した。ブリヂストンのホームページでは、「誰でも簡単に作れるブリヂストン独自の簡易フェイスシールド製作方法」を掲載するなど、ホームページを活用した情報発信も行っている。

 ■住友ゴム工業
 住友ゴム工業は2月5日、新型コロナウイルスの現地対応活動を支援するため、中国統括会社の住友橡膠(中国)が慈善組織である中華慈善総会に200万元を寄付したと発表。4月28日には、医療物資不足を支援するため、ニトリルゴム手袋9万7,500双を日本政府に寄付したと発表した。また、グループの欧州販売子会社のファルケンタイヤヨーロッパは、新型コロナウイルスの影響で延期となった世界最大級のツーリングカーレース「ニュルブルクリンク24時間レース」を盛り上げるため、FALKENレーシングチームのドライバーたちが5月23~24日の24時間に24のチャレンジに取り組む動画「#24in24」を投稿する企画を行った。

 ■TOYO TIRE
 TOYO TIREは5月11日、医療現場の最前線で新型コロナウイルスと戦う医療関係者に手作り料理をデリバリーする有志による企画「Smile Food Project」を支援すると発表。また、新型コロナウイルス感染拡大防止に向け、ステイホームに取り組む多くの人に娯楽を提供する目的から、5月2日から3週間にわたり実施・放映されたオンラインサッカーゲーム「JリーグeSports ONLINE」に特別協賛した。

 ■バンドー化学
 バンドー化学は、新型コロナウイルス肺炎感染拡大に対して、2月に中国の販売代理店を通じて、医療機関等にプラスチックガウン、マスクを寄贈。また、3月にBando Manufacturing(Dongguan)を通じて、中国・湖北省慈善協会に15万元を寄付した。

 ■ニッタ
 ニッタは6月9日、行政および同社事業所の近隣施設などに対し、感染拡大防止対策製品の寄贈やコロナ関連基金への寄付を行ったと発表した。寄贈したのは、マスクとマスク用インナーシートの2種で、インナーシートは同社の空調用フィルタ製品の技術および製造ノウハウを活用し、不織布をシート状に加工したもの。マスクと併用し、シートのみを交換することで、布マスクなどの捕集効率を補完するとともに、衛生面を維持し、マスクを長持ちさせることができる。

 同社では、奈良県庁にマスク用インナーシートを2万枚、大阪市浪速消防署にマスク1,000枚、同社事業所近隣施設(保育園・幼稚園など)にマスク計2,000枚、同社事業所近隣住民にマスク計1,000枚、マスク用インナーシート計5,000枚を贈呈した。

 また、寄付については大阪府、奈良県、東京都の3基金に対し50万円ずつ実施した。

 ■豊田合成

豊田合成のPCR検査車両


 豊田合成は、トヨタ自動車ならびにトヨタグループ各社が取り組む支援活動“ココロハコブプロジェクト”として、PCR検査車両や防護服、食品の提供を行っている。

 PCR検査車両は、トヨタ自動車のハイエースをベースに、特装車両事業でノウハウを持つトヨタカスタマイジング&ディベロップメントの協力を得て改造。これまでに東京都医師会と名古屋大学医学部附属病院に1台ずつ提供している。

 防護服は、主力製品のエアバッグ生地を用いたもので、生地製造の東洋紡と縫製メーカーの華利達服装集団との共同企画。エアバッグの生地は、ナイロンをシリコンでコーティングしており空気を通さず、洗って繰り返し使用することもできる。名古屋大学医学部附属病院などの医療機関に200着提供しており、今後も順次、要望に応じていく。

 また、食品の提供についてはフードバンク団体の「NPO法人セカンドベース」に、従業員の各家庭で持ち寄ったレトルト食品などを寄付し、新型コロナの影響で増加する生活困窮者を支援している。

 ■朝日ラバー

朝日ラバーのフェイスシールド


 朝日ラバーは5月12日、医療現場で新型コロナウイルスに対応する飛沫感染防止のフェイスシールドを製造し、福島県臨床工学技士会に無償提供したと発表した。

 フェイスシールドは、ベッド上で患者の頭部をカバーし、咳やくしゃみなど、人工呼吸器装着時の飛沫を防止することで、医療従事者を感染リスクから守るための製品。今回提供したシールドは、ベースにステンレス、シート部には塩化ビニル樹脂を使用したもので、縦40センチ×横60センチ×高さ50センチの仕様となっている。

 製品は、5月12日に福島県医療福祉機器産業協議会から福島県臨床工学技士会を通して、地域の医療機関に30個提供された。同社では今後も、医療機関からの要請に応じて対応していく方針。

 ■八興
 八興は、新型コロナウイルス感染拡大を受け、次亜塩素酸や手指消毒用アルコールなどの搬送に最適なアルコール搬送用ホース「KYサンフーズ」について、感染拡大防止へ貢献したいとの願いを込めて、無償サンプルの提供を実施している。

 「KYサンフーズ」は、①非塩ビ=焼却時に有毒ガスの発生を抑えた環境に優しいホース②低臭気=ホースの樹脂臭気を抑えている③耐薬品性=内層はオレフィン系樹脂を採用し優れた耐薬品性を有する、といった優れた特徴が評価されている。

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