【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、イラン情勢緊迫もボックス
連載 New! 2026-03-16
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
OSE天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=370円をコアに売買が交錯する展開になった。中国の春節(旧正月)の連休明け後は、工場の在庫手当て再開の動き、産地の減産期入りを手掛かりに、一時385.00円まで値上がりして2025年2月以来の高値を更新していた。しかし、3月入りしてからはイラン情勢緊迫化の中で売買が交錯し、最近の高値圏で明確な方向性を打ち出せなかった。

上海ゴム先物相場も1トン=1万7,000元を挟んで売買が交錯し、方向感を欠く展開になった。
3月はマーケット全体で、イラン情勢が注目を集めている。2月28日に米国とイスラエルがイランに対する攻撃に踏み切ったが、イランは周辺国の米軍基地などを攻撃すると同時に、原油流通の要所であるホルムズ海峡を封鎖した。このため、国際原油相場が急騰したことは、ゴム相場に対してもポジティブだ。
NY原油先物相場は1バレル=119.48ドルまで値上がりし、2022年6月以来の高値を更新している。ホルムズ海峡の封鎖が長期化することで、世界のエネルギー需給が本格的な混乱状態に陥るリスクが警戒された。その後はトランプ米大統領が戦闘の早期終結を示唆する発言を行ったことに加え、国際エネルギー機関(IEA)が過去最大規模の石油備蓄放出を決定したことで上昇一服となっているが、依然として軍事衝突発生前の60ドル台後半に対して、90ドル台前半と高値圏を維持している。
原油価格の高騰、そして石油製品の供給トラブルの発生は、合成ゴム価格の値上がり要因になる。上海市場ではブタジエンゴム相場が急伸しており、天然ゴム相場に対しても上昇圧力が波及しやすい局面だった。
一方で、原油相場の急騰や供給障害の発生は、世界経済の先行きに対しても大きなリスク要因になっている。高インフレと景気減速が同時進行するスタグフレーションが発生するのではないかとの懸念も強くなっている。また、金融市場でも世界の株式相場が不安定化するなど、投資家のリスク選好性が後退している。このため、原油高がゴム相場の下値をサポートしつつも、改めて大きく上値を切り上げていくまでの勢いはなく、370円台をコアとしたボックス相場にとどまった。
為替が円安に振れたことはポジティブ。地政学リスクの高まりを受けて「有事のドル買い」が発生し、ドル/円相場は1ドル=159円台に到達した。これは1月14日以来の円安・ドル高であり、円建てゴム相場のサポート要因になった。日本当局の円買い介入も警戒される水準だが、ドル/円相場は上値追いの展開が続いた。
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