【特集】自動車部品
東工コーセン、LIB用資材の開発に経営資源集中
商社 2016-12-09
東工コーセンは中国貿易と産業資材、衣料品を核とした専門商社。自動車用資材・部品に関しては、タイヤコード・チェーファー、ベルト基布、ホース基布・コード、エアバッグ用布などを販売している。また「自動車の電動化(EV化)によって、新たな部品として注目されているリチウムイオン電池(LIB)の材料販売にも力を入れている」(吉村達也常務取締役・営業本部長)。
資材や部品だけでなく、中国・天津で日産車の販売も行っている。
「中国市場ではSUV車が人気で良く売れている。小型車も中国政府の減税政策により販売が好調だ。当社の自動車販売事業も順調に推移しており、開業10周年にして最高の売上高を記録している」
同社の2016年3月期売上高(連結)は、460億円でこのうち自動車資材・部品の売上高は約40%を占めており主力事業のひとつだ。
上期(4―9月)の自動車関連繊維資材の輸出販売は、円高により伸び悩み、為替差損も発生したが「中国で急速に需要が高まっている車載用LIB材料の輸出拡大で収益を一部カバーした」という。
自動車産業に関連した海外関係会社の上期業績状況は、アセアン事業(タイ2社、インドネシア1社)は売上高28億円、経常利益9000万円で増収増益。中国・天津の自動車販売事業(東工コーセン50%出資)は売上高26億円、経常利益1億円で増収増益。
タイの製造拠点であるコーセン・ファイバーテック(タイランド)は、受注の増加に対応し工場の拡張を計画している。
今後の自動車資材・部品事業については「当社は1953年から中国貿易に取り組んでいる。そこで培った経験と強みを生かし、日本・中国・韓国・東南アジアなどアジアグローバル領域に重点を置き、双方向による新しいビジネスモデルの構築に注力する。国内事業については、短期業績は概ね横ばいと見ているが、EV化・軽量化に伴う素材開発に取り組み、事業環境の変化に対応していく」。
ハイブリッド車(HEV車、PHV車)、電気自動車(EV車)、燃料電池車(FCV車)、などの次世代自動車拡大への対応としては、エアバック用布などの保安部品やLIB用資材の開発
に経営資源を集中していく。「EV化によって、ベルト用基布やホース用布・コードは一部減少が予想されるが、エアバック用布などの保安部品は影響を受けず、むしろ大幅に増加すると期待している」。
大気汚染が深刻化する中国では、公共交通や公共サービスのEV化が急速で、車載用LIBの市場規模も拡大している。そのため同社では、日本・韓国・台湾・中国のLIB関連メーカーと協業することで拡販をはかり、成果を収めている。
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