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【インタビュー】横浜ゴム執行役員タイヤ消費財開発本部長兼タイヤ研究開発部長野呂政樹氏

車を楽しむという豊かさに貢献

タイヤ 2016-09-02


 アジア最高峰のフォーミュラレースである全日本スーパーフォーミュラ選手権(以下スーパーフォーミュラ)に、今年からADVANレーシングタイヤをワンメイク供給している横浜ゴム(野地彦旬社長)。その参戦への経緯やモータースポーツ活動について、野呂政樹執行役員タイヤ消費財開発本部長兼タイヤ研究開発部長に話を聞いた。

 ■スーパーフォーミュラへ参戦した経緯
 当社は、1990年代までスーパーフォーミュラの前身である全日本F3000選手権に参戦していましたが、F3000がフォーミュラ・ニッポンとなり、タイヤがワンメイク供給となった時に撤退しました。

 今回の参戦は、スーパーフォーミュラの運営団体である日本レースプロモーション(JRP)さんから、2014年に話を頂いたことが始まりです。今ワンメイク供給しているブリヂストンさんに替わり、16年シーズンからタイヤを供給して欲しいということでした。

 話を頂いた当初は、サポート体制、コスト等を検討し、一度お断りしました。ただ、その後もJRPさんとは交渉を続けながら、技術的にクリアすべき点やメリットは何か、生産の課題はどこにあるのか等を検討していました。

 参戦するからには、当社が技術的に向上できる部分がないといけません。そういった意味で、関係者の方々から頂いた車両データを基にしたシミュレーションから、スーパーフォーミュラは、すでに参戦しているスーパーGTとはまた違った技術的に面白い部分があると感じましたし、到達できないラインではないと考えました。私は実際、富士スピードウェイにレースの視察に行ったのですが、その場でも参戦する価値があると思いました。

 当社の中にも、フォーミュラ・ニッポン時代に撤退した悔しさはありましたし、野地社長にもそれはあったと思います。また社内には、スーパーフォーミュラをやってみたいという想いも感じていました。

 その後、JRPさんとの交渉を続けた結果、条件面が整い、あとは社長からご了解頂くことでしたが、その点についてはB級ライセンスの競技についても決して手を抜かない、おろそかにしないということを条件に了承して頂き、参戦に至りました。
 
 

モータースポーツは技術力の強化とアピールの場

 ■モータースポーツにタイヤを供給するメリット
 技術力の強化、レベルの向上とそのアピールがまず挙げられます。

 私は、技術力とは見極めではないかと思います。例えばレーシングタイヤの場合、極端な話をしますと、300㎞の距離を走るレースであれば、310㎞でタイヤが壊れても良いわけです。レース分の300㎞を走る耐久性があり、その中で一番速いタイヤを作るにはどうしたら良いのか、この見極めだと思います。

 それは市販用タイヤにとっても同じことが言えます。市販用タイヤは、様々なドライバーに様々な使われ方をします。その中で、例えば耐久性や燃費、グリップなどをどのバランスで作りこんでいけば最も優れたタイヤができるのか。そこの見極めが重要になります。

 そうした見極めの究極の実践の場が、レースだと考えています。

 ■市販用タイヤに搭載されているモータースポーツ由来の技術
 レースタイヤには、2層のカーカスプライのコードに角度を持たせて、それぞれ交差させることで剛性を確保するハーフラジアル構造を採用しています。この技術を応用したものが、ADVAN Sport V105に採用されている「マトリックス・ボディ・プライ」で、これにより高い操縦安定性を実現しています。

 他には、天然素材でグリップ力の向上が図れ、エコタイヤに採用されているオレンジオイルも、元はレースタイヤで使われていたものです。

 モータースポーツ由来の技術とは、何も素材だけでなく、タイヤを生産するプロセスも含め、様々な部分で市販用タイヤに大いに活かされています。

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