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約60万要素規模で複数材料の変形挙動を高速に推論する技術を開発

住友ゴム工業と富士通、AIを活用したタイヤ構造解析の実証実験において所要時間を約90%短縮

タイヤ New! 2026-06-03

 住友ゴム工業と富士通は、住友ゴム工業が長期経営戦略に掲げた設計のDXに向けて、タイヤの性能をAIで高精度かつ短時間で予測する技術AIサロゲートモデルを共同開発し、今回、実証実験において成果を確認した。

 同実証実験では、開発した技術を、タイヤが路面に接地した時の変形挙動の予測に適用した結果、解析時間を従来の約45分から約5分へと大幅に短縮(約90%削減)するとともに、約60万要素(メッシュ)規模の解析を実現した。

 両社は、同実証実験の成果をもとに、タイヤ設計の開発支援ツールの開発を進め、住友ゴム工業において2027年4月の実用開始を目指す。これにより、住友ゴム工業はデータドリブンな開発を加速し、より安全性が高く環境性能に優れた高品質なタイヤをスピーディーに市場供給することを目指す。

実証実験のイメージ


FEM解析による精度と計算時間の関係


 なお、同技術は、富士通が開発する高性能かつ省電力性を追求したArmベースの次世代CPU「FUJITSU―MONAKA」での動作を前提に設計。今後、両社は同技術をベースに「FUJITSU―MONAKA」検証機での実証を12月までに開始し、さらなる推論速度・精度および電力効率の最適化を目指していく。

 ものづくり現場において、製品や構造物の挙動をシミュレーションし、性能や安全性を評価するCAE解析は、製品の高性能化・複雑化に伴い、多大な解析時間を費やしている。

 タイヤの設計においては、CAE解析手法の一つであるFEM(有限要素法)解析が用いられている。解析は、メッシュを細かくして要素数を増やすと精度は向上するが、同時に計算時間やそれに伴う開発コストが増加するため、精度と計算負荷のバランスを取ることが求められている。加えて、解析には専門知識が必要で、熟練した技術者の確保も課題となっている。

 この課題を解決するため、両社は過去から蓄積されてきたFEM解析結果を学習データとして、FEMの基礎方程式の解を高速に予測する技術AIサロゲートモデルを開発した。

 両社は、住友ゴム工業のタイヤ設計のノウハウや実設計データと富士通のAI技術を活用し、グラフニューラルネットワーク(GNN)のアルゴリズムをベースとしたAIサロゲートモデルを共同で開発し、タイヤの構造解析に関する実証実験を実施。実証実験では、タイヤの路面接地時における接地形状や接地圧分布など、変形挙動や接地特性の評価を対象とした。

 その結果、従来FEM解析では約45分を要していた解析を約5分での近似解析を実現し、FEM解析と比較してタイヤと路面の接地形状を平均87.7%の高い精度で予測できた。

 同技術により、従来は複数の設計プロセスを経て決められていたタイヤの構造や材料の仕様を、より少ないプロセスで短時間に決定できるようになる。これにより、意思決定がスピードアップし、性能向上だけでなく、コストの最適化も期待できる。

 両社は、同AIサロゲートモデルについて、12月までに「FUJITSU―MONAKA」検証機での実証を開始し、推論速度・電力効率の最適化を目指す。また、タイヤの構造解析の適用範囲を拡大するとともに、専門知識がなくても設計者が直接利用できる設計開発支援ツールとしての開発を進め、住友ゴム工業において、2027年4月の実運用開始を目指す。

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