スタッドレスタイヤと遜色のない氷上の性能と安心感
住友ゴム工業の次世代オールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER」の実力を試乗会で体感
タイヤ 2024-08-20
住友ゴム工業が10月1日から発売する、次世代オールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER(シンクロウェザー)」。サマータイヤとスタッドレスタイヤの性能を両立し、ドライ、ウェット、氷上、雪上などあらゆる路面にシンクロする画期的なタイヤだ。その性能に寄与しているのが、水や温度といった外部環境の変化に反応する「水スイッチ」、「温度スイッチ」という2つのスイッチを組み込んだ、初搭載した新技術「アクティブトレッド」。2月に旭川タイヤテストコース(北海道旭川市)、6月に岡山タイヤテストコース(岡山県美作市)を中心に行われた試乗会で、その実力を体感した。

「SYNCHRO WEATHER」
2月の旭川タイヤテストコースでは雪上、氷上で「シンクロウェザー」、スタッドレスタイヤ「WINTER MAXX WM02(ウインターマックス WM02、以下WM02)」、オールシーズンタイヤ「ALL SEASON MAXX AS1(オールシーズンマックス AS1、以下AS1)」を比較した。
明確に違いが現れたのが、氷上路面での制動と旋回だ。
氷上制動は時速20キロまで加速し、そこからフルブレーキした際の距離を比較した。
シンクロウェザーの制動距離は、WM02と遜色がなかった。加速時のトラクションのかかりも良く、ブレーキを踏むと氷をしっかりつかんでいる印象だ。減速時の挙動も安定している。一方、AS1は従来のオールシーズンタイヤでカバーしきれない氷上だけあって、加速がままならず、ブレーキ時も止まるまでに惰性のように感じる。停止までの距離はシンクロウェザーとWM02が同等で、AS1に比べ20%超も短かった。
氷上旋回でも、シンクロウェザーはWM02と同等の性能を示した。旋回しながら徐々に速度を上げ、どの速度域でグリップを失うかを比較したが、シンクロウェザーはWM02と同じ速度域まで旋回できた。シンクロウェザーはハンドルから伝わる接地感が高く、手応え通りにグリップしている印象だが、AS1はグリップがいつでも抜けそうな感触だった。シンクロウェザーとWM02はAS1に比べ20%超速い速度域まで旋回が可能だった。
旭川での試乗では、シンクロウェザーが氷上性能においてスタッドレスタイヤ「WM02」と同等の性能を有していることが分かった。
ウエット、ドライ性能は夏タイヤに匹敵、静粛性も高い

氷上、雪上、ドライ、ウエットなどあらゆる路面で高い性能を発揮する
一方、6月の岡山タイヤテストコースではドライ、ウエット路面で「シンクロウェザー」、夏タイヤでコンフォートタイヤの「LE MANS V+(ル・マン ファイブ プラス、以下ル・マン5+)」、「WM02」を比較した。
水がまかれたスキッドパッドで時速50キロで行ったウエット旋回では、シンクロウェザーの高いウエット性能を体感した。シンクロウェザーのウエット性能は排水性とグリップ力が高く、夏タイヤであるル・マン5+と同等以上と感じた。ハンドルの接地感が安心感に繋がり、速度への余裕も十分にあった。ハンドルの舵角通りに旋回できている印象だ。一方でWM02は、ウエット路面が苦手なスタッドレスタイヤの特性通り、旋回が外に膨らむ。ハンドルを切り増すが、それでもなお外に膨らむ印象だ。
ドライの周回路では、高速コーナーや高速レーンチェンジ、段差のある路面で、安定性や静粛性等を比較した。
高速コーナー、高速レーンチェンジ時においても、シンクロウェザーはル・マン5+と同等に感じた。剛性感があり、スタッドレスタイヤでドライ路面を走った際にありがちなブロックの倒れ込みを感じない。しっかり接地している印象だ。コーナーやレーンチェンジ時も反応がスムーズで、ハンドルを戻した際もピタリと収まる。
静粛性もコンフォートタイヤであるル・マン5+との大きな違いを見出せなかった。静かだ。また、段差のある路面での突き上げ感は、ル・マン5+よりもマイルドに感じた。ゴムの軟らかさに起因しているものと思われる。
岡山の試乗では、シンクロウェザーが夏タイヤかつコンフォートタイヤである「ル・マン5+」と同等、場合によっては同等以上の実力があると確認した。
「水スイッチ」、「温度スイッチ」を組み込んだ「アクティブトレッド」を搭載したことで、シンクロウェザーはあらゆる路面での走行を可能にした。夏タイヤや従来のオールシーズンタイヤ、スタッドレスタイヤが苦手とする路面がある中で、どのような路面でも走行をこなす様は、まさに「次世代」のオールシーズンタイヤだと納得した。シンクロウェザーはあらゆる路面で「安心感」を持って走行できる。
同社の山本悟社長は「これは進化ではなく発明だ」と語った。間違いない。
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