静けさと安全性がより長く持続、ワンランク上の快適性が味わえる
横浜ゴムのプレミアムコンフォートタイヤ「ADVAN dB V553」
タイヤ 2024-04-09
横浜ゴムが2月から発売している「ADVAN dB(アドバン・デシベル)V553」。新品時だけでなく、摩耗時にも優れた静粛性を発揮するプレミアムコンフォートタイヤだ。静粛性や操縦安定性といった高いコンフォート性能が高評価を得ていた従来品ADVAN dB V552の後継モデルで、「上質な静粛性が持続するプレミアムコンフォートタイヤ」をコンセプトに開発した。新品時、摩耗時ともに優れた上質な静粛性、ラグジュアリーカーに相応しい上質なハンドリング性能、雨の日にも安心なウェット性能が特徴で、その静けさと安全性がより長く持続する。
タイヤに起因したノイズを抑制
ADVAN dB V553の特徴の一つが、新品時だけでなく、摩耗時にも優れた静粛性を発揮すること。
走行中のタイヤが発する音には、トレッドの溝と路面との接触によって発生するパターンノイズと道路の凹凸によってタイヤ内部のベルトが振動し発生するロードノイズの2種類がある。ADVAN dB V553は、専用設計のトレッドパターンや繊維を強化した新たなベルト等を採用することで、それらノイズを抑制。従来品ADVAN dB V552に比べ、パターンノイズは15%低減、摩耗時ロードノイズは22%低減した。パターンノイズに関しては、特にピッチ数に依存する522ヘルツ付近の周波数が約2.5デシベル低減、一方の摩耗時ロードノイズに関しては中周波領域において最大で約2.0デシベル低減している。
非対称の専用設計を採用
トレッドパターンは摩耗時の性能低下抑制、静粛性向上にこだわった専用設計。また、ウェット性能をイン側、ドライ性能をアウト側に機能分担した非対称パターンとした。「従来品に比べ溝の絶対量は大きく変わらないが、主溝を太くしウェット性能を高めながら、横溝を減らすことでタイヤに起因する音の低減を図った」(横浜ゴム)。
イン側は、幅広のストレートグルーブで排水性を向上させるとともに、サイプ+面取りの形状で排水性を確保しつつ、パターンノイズを抑制している。イン側中央のリブは千鳥配置とし、ブロック剛性の最適化とノイズの周波数の分散化に寄与している。
一方、アウト側はイン側に比べ溝の量を少なくし、ブロック剛性を向上。ショルダー部のラグ溝をサイプにより形成し、ブロック剛性を確保するとともに、車両外への騒音を抑制している。
パターンデザインは、摩耗が進んでも新品時から構成要素が大きく変わらない設計とした。溝壁を立たせて、摩耗後の溝体積の変化を低減することで、ウェット性能の低下を抑制。60%摩耗時においても新品時からの変化が少なく、一方で細いストレート溝は消えるため、パターンノイズの悪化を抑制している。「摩耗時においても、顔(パターンデザイン)が変わらないことは、新品時からの音の変化の抑制に寄与している」(同)。
ウェットと燃費を高いレベルで両立
コンパウンドには低燃費性能、ウェット性能、耐摩耗性能のバランスに優れた「ADVAN dB」専用設計のコンパウンドを採用。シリカの分散性を向上させたコンパウンドによって、ウェット性能と燃費性能を高いレベルで両立した。国内タイヤラベリング制度における転がり抵抗性能は全46サイズ中「AA」が17サイズ、「A」が29サイズ、ウェットグリップ性能は全サイズで最高グレードの「a」を獲得。加えて耐摩耗性能、摩耗時のウェット性能も高めている。従来品に比べ耐摩耗性能は11%向上、摩耗時ウェット制動は9%短縮している。
サイズは、同タイヤのメイン市場の一つである日本を考慮し、国産車サイズを中心とした46サイズを展開。SUV用から軽自動車用まで幅広いサイズラインアップを誇る。国内自動車保有台数のおよそ4割を占める軽自動車の需要にもマッチする。「軽自動車用サイズは、日本市場をメインターゲットとする以上、外すことのできないサイズ。従来品ADVAN dB V552でも軽自動車用のサイズを展開していたが、一定の支持を得ることができた。軽自動車も高級化の傾向があり、快適性等を体感できる性能の高いタイヤをぜひ装着して欲しい」(同)。
試乗会で高い性能を体感
昨年12月に開催されたADVAN dB V553の試乗会。内燃機関からハイブリッド(HV)、プラグインハイブリッド(PHEV)といった幅広いパワートレインを搭載した軽自動車、ミニバン、SUV等の車種による絶対評価、クラウン クロスオーバーを用いたADVAN dB V553(新品時)、同(50%摩耗)、ADVAN dB V552(50%摩耗)の比較を行った。
絶対評価で使用したのは、軽自動車のN―BOX、HVのプリウス、PHEVのエクリプスクロス、ミニバンのアルファード。西湘バイパスを含む一般道を走行した。
タイヤの快適性には、静けさだけでなく、操縦安定性、段差を超える際のスムーズさなど様々な要素が必要とされるが、ADVAN dB V553はそのいずれも高次元のレベルを実現している。道路の継ぎ目や段差を超える際はマイルドで、操縦安定性も高く、滑らかに真っすぐ走る。以前から評価の高い静粛性はやはり上質。パターンノイズ、ロードノイズが抑えられ、静けさを伴った快適な車内空間を味わうことができる。PHEVでのモーター走行でも、タイヤの音は気にならず、風切り音などの方が気になるくらいだ。車種のグレードがワンランク上がったかのような快適性を、いずれでも味わうことができた。
一方、新品時と摩耗時の比較はスラローム走行を含め、80キロまでの速度で行った。ADVAN dB V553の新品時、50%摩耗時を比較すると、静粛性、走行性能は遜色なく感じた。スラローム走行では、ハンドルの舵角に素直に応答し、軽やかにスラロームを行える。様々なスピードにおける静粛性も変わらず、摩耗しても性能が失われていないことがうかがえた。
その点、ADVAN dB V552の50%摩耗時は、ADVAN dB V553(新品時、摩耗時問わず)と比べると、静粛性という面でわずかにノイズが大きいように感じた。ADVAN dB V552を絶対評価すれば、きっと十分な静けさがあると感じるだろうが、そこを高めたADVAN dB V553と比較すると、正直分が悪い。
絶対評価においても比較においても分かる進化が、ADVAN dB V553にははっきりとある。
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