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タイヤ開発のスピードアップやコスト削減が可能に

横浜ゴム、XAIを活用したタイヤ設計支援システムを独自開発

タイヤ 2024-07-16

 横浜ゴムは、XAI(eXplainable AI=説明可能なAI:ブラックボックスとなっているAIの判断基準やルールをユーザーが推測するための技術)を活用したタイヤの設計支援システムを独自に開発した。

“人とAIとの協奏”によるタイヤの仕様検討プロセスの概念図


 これにより、技術者の知識や経験を補う情報(求めるタイヤ特性に役立つ特徴量)が得られるため、経験の浅い技術者でもタイヤ設計が容易になり、開発のスピードアップやコスト削減が可能になる。さらに、特徴量を俯瞰することで新たな気づきやひらめきが得られ、より高性能な商品の開発が期待できる。

 今回のシステムは同社が2020年10月に策定したAI利活用構想「HAICoLab(ハイコラボ)」に基づいてタイヤの開発プロセスを革新するために開発。タイヤ開発では開発目標を目指して、特性値(性能や品質を表す数値や指標)を改善できる特徴量(タイヤの材料・形状・構造の各特徴を表す設計因子)を探索する。

 同システムでは、求めるタイヤ特性に役立つ特徴量を技術者に提供できるようSHAP(SHapley Additive exPlanations)と呼ばれるXAIに独自のカスタマイズを施した。さらに得られた特徴量をどう調整すればよいかを技術者が理解しやすいよう、多角的に表示できるシステムとなっている。これにより、経験の浅い技術者でもタイヤ設計を効率的に行うことができる。

 同システムは、技術者が設定したタイヤの基準仕様と目標特性値から改善すべき特性(目的特性)と定量値を定め、その目的特性の改善に役立つ特徴量をXAIで提示。技術者はXAIで得られた情報(求めるタイヤ特性に役立つ特徴量)を多角的な視点で解釈して仕様を修正し、2021年に開発した特性値予測AIを使って各特性値が目標を達成しているかを確認する。

 このプロセスを繰り返すことで最終仕様を決定し、さらにXAIによって最終仕様の根拠(各特性値の改善や維持に役立った設計因子[特徴量]とその寄与率)も確認できるため、“人とAIとの協奏”によって新たな発見やひらめきを得ることができ、より高性能な商品開発に繋げることが期待できる。

 今後は同システムを多岐にわたるタイヤ商品開発に活用するとともにHAICoLabの実践領域を拡大していく。

 HAICoLabは人間特有のひらめきや発想力とAIが得意とする膨大なデータ処理能力を活かしつつ、先入観や認知バイアスに囚われないように、多角的な経験や知識や判断基準に基づいてAIの結果を解釈・思考・判断する“人とAIとの協奏”によってデジタル革新を目指すフレームワーク。

 HAICoLabに基づいたタイヤ開発を実践するため、これまでにゴムの物性値とタイヤの特性値を予測するAIシステム(2021年)やゴムの配合を生成するAIシステム(2022年)を独自に開発し、また、その他領域においてもHAICoLabを実践するためにプログラミング不要な汎用AIツール(dotData)を導入してきた。

 今後もHAICoLabによって、製品やプロセスやサービスの革新を目指しデータ活用を進めていくことで、ユーザーエクスペリエンスの向上や、内閣府が提唱するAIやIoTなどの革新技術により実現する新たな未来社会の姿「Society 5.0」の実現に貢献する。

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