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ドイツ・ライプニッツ高分子研究所と共同研究

住友ゴム工業、ゴム破壊のメカニズムを解明

タイヤ 2019-01-10

 住友ゴム工業は1月9日、ライプニッツ高分子研究所(ドイツ・ドレスデン)との共同研究により、今まで解明されていなかったゴム内部の「ボイド」と呼ばれる空隙(ゴム破壊の元)の発生から、き裂発生までのメカニズムを解明したと発表した。

 同社は「さらに高い安全性能」、「さらに高い環境性能」を実現するためのタイヤ技術開発コンセプト「Smart Tyre Concept」を掲げており、今回の研究成果は「Smart Tyre Concept」の方向性のひとつである「性能持続技術」につながるもの。

 タイヤの摩耗現象の一因であるゴムの破壊は、ゴム内部の分子切断やボイド形成によるき裂の成長によるものと考えられてきたが、明確には解明されていなかった。そのような中、同社では合成ゴムのボイドの発生観察に着手。2015年には新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」を活用してボイドの発生を構造シミュレーションで解明し、その発生を抑える技術を確立した。

 今回の研究成果は、実際の合成ゴムを用いた2種類の実験からゴム内部の力学的挙動を観察したことにより、ゴムの粘弾性をコントロールすることで耐久性の高い材料の開発につなげることが可能となる。

 ■実験①=薄い円板状ゴム試験体のコンピュータ断層撮影(CT)による力・変形量・体積変化解析

 ◇実験方法=円板状の金属プレートと接着させた同形状の合成ゴム試験体を、金属プレート接触面の垂直方向に引っ張ることで、ゴム試験体を変形させた際の力と体積変化の関係を観察。また、ゴム試験体のCTにより、ゴム内部のボイドの成長を観察。

 ◇結果=円板状の金属プレートに接着された同形状の合成ゴム試験体は、金属プレート方向に引っ張るとゴムの性質により幅方向(半径方向)に収縮しようするが、金属プレートに接着されているため、金属と接している部分のゴムが剥がれない限り、幅方向に縮むことができない。その結果、ゴム自体が膨張することとなり、CTでゴム内部を観察した結果、ボイドの発生が確認できた。さらに、合成ゴムの中でも充填剤ありの場合はシリカやカーボンブラックの凝集物間からゴムの破壊が発生し、充填剤なしの場合はゴム分子の滑りによるボイド形成からゴムの破壊が発生するといった、ボイド発生の経緯が異なることも明らかになった。

 ■実験2=X線小角散乱による合成ゴムの破断特性の解明

 ◇実験方法=切り込みの入った平面な合成ゴム試験体を平面方向に引っ張った場合の切り込み部分について、X線小角散乱を用いてゴム内部のボイドの成長を観察。

 ◇結果=平面な合成ゴム試験体の切り込み部分について、X線小角散乱によりゴム内部密度を測定した結果、切り込み先端部分は他の部分よりゴム密度が低い(ゴム内部でボイドが多く発生している)ことが判明。これにより、平面なゴム試験体を平面方向に引っ張った場合、切り込み先端部分にボイドが存在することおよびゴムの破断にはボイドが関与することが解明された。

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