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耐摩耗性とグリップを両立

ブリヂストン、パラトライアスロン秦選手の義足用ゴムソールを新開発

タイヤ 2018-04-19

秦選手(中)とブリヂストンの開発陣


 ブリヂストンは4月18日、都内で記者会見を開き、パラトライアスロンの秦由加子選手が使用する義足用の新型ソールを発表した。同社は17年6月から、国際オリンピック委員会(IOC)のワールドワイドオリンピックパートナー、東京2020パラリンピックゴールドパートナーとして、「CHASE YOUR DREAM」をテーマに、夢に向かって挑戦し、その挑戦をサポートする「Team Bridgestone Japan」という取り組みを実施している。秦選手へのサポートはこの活動の一環。

 新型ソールは17年に開発したゴムソールを改良したもの。「グリップはそのままで、3-4カ月使用したい」という秦選手の要望に応えるため、耐摩耗性を向上したソールの開発を目指した。

 開発を進めるにあたり、実際に秦選手のソールの踏み込みから蹴り出しまでの接地面に加わる力と挙動を計測。解析の結果、トラック・バス並みの接地圧がかかっていること、タイヤと違い圧力が一定ではないことの2点が判明した。その結果に基づき、パタン(溝)を最適化。つま先部分を耐摩耗性能に優れたもの、それ以外の部分を安定したグリップを発揮するものにし、耐摩耗性能とグリップ性能という相反する2つの性能を両立させた。

 さらに、秦選手に最適なゴムソールを提供するため練習環境の路面・気温・走行距離などを調査。様々な路面で走るタイヤの知見を応用した。ゴムにかかる入力と使用環境から考え配合に活かすことで、耐摩耗性向上のために強度を上げ、圧力に耐えられるゴムを新たに開発した。

新型ゴムソールを装着した義足を受け取る秦選手(右)と開発チームの小平氏


  会見で開発チームは、「今回の新型ソールの開発は、我々のタイヤ開発のアプローチと同じで、そのノウハウや技術を落とし込むことができた。秦選手のフィードバックを期待している」と述べ、今後さらに研究を続けていくと意欲をのぞかせた。ゲストとして登場した秦選手は「タイヤメーカーのブリヂストンが、こんな小さな義足を作ってくれたのはありがたい。感動するグリップ感だ。同社が支援するアスリートとして、様々なことを発信していきたい」と笑顔で語った。

 新型ソールは、5月12日-13日に開催・秦選手が出場する「2018 ITU World Triathlon Yokohama」で使用される。

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