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乗用車用スタッドレスタイヤ

横浜ゴム、「iceGUARD6」の凄さとは② パターンとコンパウンド

タイヤ 2018-02-21

横浜ゴムが新たに採用したのが、シリカの均一分散を促進する「シリカ高反応ホワイトポリマー」。これにより、多量のシリカを均一に分散させることを可能にした。ただ、「シリカ高反応ホワイトポリマー」は、シリカの均一分散を可能にしたものの、「iceGUARD」の基本コンセプトの一つである「永く効く」、つまり経時劣化後のしなやかさの持続という点で悪化する欠点があった。その欠点を補填するために採用したのが、「オレンジオイルS」。同社の特徴でもあるオレンジ由来の素材で、スタッドレスタイヤ用に改良した。これにより、吸水した路面にしなやかに密着し、氷上性能とウエット性能を両立しながら、それが永く効く「プレミアム吸水ゴム」が実現した。

コンパウンド シリカ増量で氷上、ウエット性能向上

パターンの違いによる比較。上が「iceGUARD6」のパターン、下が「iceGUARD5 PLUS」のパターン。「iceGUARD6」のパターンが手前で止まっている

試乗会では氷盤路面での制動、圧雪路でのスラロームで「iceGUARD6」に搭載されたパターン、コンパウンドの実力を体感した。

コンパウンドの違いによる比較。上が
「iceGUARD6」のコンパウンド、下が「v905」のコンパウンド。「iceGUARD6」のコンパウンドが手前で止まっている

パターンの違いによる性能を比較するため用意されたのは「iceGUARD5 PLUS」のコンパウンドを用い、パターンを「iceGUARD6」と「iceGUARD5 PLUS」に分けたタイヤ。一方、コンパウンドの比較には「iceGUARD6」のコンパウンドと欧州向けウィンタータイヤである「V905」のコンパウンドを使用したスリックタイヤが用意された。

パターン、コンパウンドいずれも「iceGUARD6」に搭載されたものの方が、氷盤路面での制動距離が短かった。特にコンパウンドの違いは顕著で、吸水した後の路面に、しなやかに密着することの重要性がうかがえた。また、圧雪路でのスラロームにおいても、「iceGUARD6」に搭載したパターン、コンパウンドの方が優れていた。運転したモータージャーナリストの日下部保雄さんによると、「iceGUARD6のパターンはハンドルからのインフォメーションの伝わりが良く、コントロールしやすい。また、コンパウンドはハンドルの重みもあり、いかにもグリップしている感が伝わってくる」。実際、同乗していて驚いたのが「iceGUARD6」のコンパウンド。溝がないスリックタイヤにもかかわらず、「こんなにも止まり、こんなにも曲がるものか」と、その実力の高さを十分に感じることができた。

今後も、さらなる性能向上を目指したスタッドレスタイヤの開発が進められるだろうが、「iceGUARD6」の時点で「もう十分ではないか」と感じるほどの完成度だったと思う。

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