【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、需要不安で上値が重い展開
連載 2025-08-18
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
OSE天然ゴム先物相場(中心限月)は7月25日の1キロ=335.00円で上げ一服となった後の調整局面が続き、320円水準まで値下がりした。7月中旬は中国政府の景気刺激策期待、米中通商協議の進展期待、産地天候不順などを手掛かりに値上がりしていたが、改めて需要不安が上値を抑え、戻り売りが優勢の展開となった。

上海ゴム先物相場は2026年1月限に中心限月が移行したが、1トン=1万5,000元台中盤で上値の重い展開になった。反発が一巡した後、調整売りが膨らんだが、大きく値を崩すまでの勢いはみられず、方向性を欠いている。
需要不安を改めて織り込む動きが強くなっている。トランプ米政権が貿易相手国・地域に課す一律関税が8月7日に発動されたが、世界経済の減速傾向が一段と強まるリスクが警戒されている。4月と比較して関税率が引き上げられた国が多く、経済活動へのダメージがこれまで以上に深刻になると予想されている。
しかも、すでに各国経済指標の下振れ傾向が鮮明になっていることも、原油相場などと同様にゴム相場の上値も圧迫している。中国の7月製造業PMIは前月の49.7から49.3まで低下し、活動の拡大・縮小の分岐点となる50を4カ月連続で下回った。内需低迷が続く中、さらに関税引き上げを前にした輸出の駆け込み需要が一巡し始めたことがうかがえる数値として表れている。また、7月米ISM製造業指数は前月の49.0から48.0まで低下している。関税引き上げの影響で雇用削減の動きが広がりをみせている。受注、生産は若干の改善をみせているが、企業が関税への対応で疲弊していることがうかがえる数値になった。
中国では政府が無秩序な競争を取り締まる方針を示しており、価格競争が需要を刺激する局面は一服する可能性が高い。米国ではこれまでの駆け込み需要の反動が想定される。今後は関税の影響で輸入車価格が上昇しやすく、新車販売環境の不透明感は増している。
経済成長鈍化というマクロ経済要因と、米中を中心とした新車市場の減速懸念が、改めてゴム相場の上値を圧迫している。
トランプ政権の新たな関税発動で、さらに需要不安を織り込むのか、逆に通商問題を巡る不透明感の緩和で下値を固める展開に移行するのかが焦点になる。
供給サイドの動向は、引き続きあまり材料視されていない。中国南部や東南アジアでは豪雨の報告も続いているが、7月上旬と比較すると農作業への影響は限定されている。実際に、OSEゴム先物相場では期近限月に対して積極的にリスクプレミアムを加算していくような動きはみられなかった。
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