【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、需要不安で戻り売り優勢
連載 2025-08-04
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
OSE天然ゴム先物相場(中心限月)は7月25日の1キロ=335.00円まで値上がりした後、310円台中盤まで反落する展開となった。7月中旬には、中国政府の景気刺激策への期待、米中通商協議の進展観測、産地の豪雨傾向などを背景に買い圧力が強まり、4月3日以来の高値を更新していた。しかし、月末にかけては上げ一服後の調整売りが膨らみ、約3週間ぶりの安値を更新した。

上海ゴム先物相場は、1トン=1万5,665元まで値上がりした後、1万4,000元台中盤まで急反落している。思惑先行で急伸していたが、利食い売りが優勢になっている。1万5,000元の節目を大きく上抜く値位置を正当化するほどに、需給の引き締まりは見込まれないとの慎重な見方が優勢になった結果だ。
トランプ米政権と各国との間で通商合意が成立しているが、日本、欧州連合(EU)、韓国の自動車に対する関税は15%に設定された。これらの地域から米国向け自動車輸出を停止させるほどのインパクトはない数値だが、それでも自動車市場の混乱への警戒感が強い。自動車メーカーが利益を削って関税分を負担するか、値上げによって米消費者に関税負担を転嫁する必要がある。上期の米新車販売環境は、関税前の駆け込み需要もあって堅調だったが、年後半は需要先取りの反動と関税によるサプライチェーンの不安定化で、新車販売の鈍化が警戒されている。
中国市場に関しては、中国共産党中央政治局会議で、下期に企業の無秩序な競争を取り締まる方針が示された。
自動車分野では、5月下旬以降に値引き競争が激化しており、自動車メーカーが無理な競争を行っていることについて、中国当局は従来から批判を行っていた。また、新車販売の水増しで「走行距離ゼロの中古車」が市場に出回っていることも問題視されていた。中国政府がこれらの問題に本格的に取り組み始めると、自動車市場の健全化が進む一方で新車販売の鈍化といったゴム需要の下振れリスクを高める動きにつながる可能性がある。ゴム市場では、中国共産党の取り組みについて、需要下振れリスクとの評価が優勢だった。
原油相場が急伸したが、ゴム相場に対する影響は限定的だった。トランプ米大統領がロシア産石油の購入国に関税を課す可能性を示唆しており、WTI原油先物相場は6月23日以来の高値を更新している。
供給サイドでは、東南アジアや中国南部で豪雨が続いているが、ゴム供給に大きな混乱をもたらすような大規模な洪水被害などは報告されておらず、供給リスクの織り込みは本格化していない。OSEゴム相場も当限に対するプレミアム加算は見送っている。
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