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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、通商環境不安定化も横ばい

連載 2025-07-14

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 OSE天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=310円台での小動きに終始した。7月入りしてからトランプ米政権の通商政策を巡る動きが活発化しているが、ゴム相場に対する影響は限定的だった。日本を含む多くの国に対して高関税の通知が行われているが、実際に通知された関税の全てが発動されるのかは懐疑的な見方も強く、先行き不透明感から積極的な売買は見送られた。為替が円安・ドル高に振れたこと、原油相場が底固く推移したことはポジティブだが、決定打を欠くほぼ横ばいの展開が続いた。

 上海ゴム先物相場は1トン=1万4,000元水準で売買が交錯した。米中通商協議の本格化への期待感も強くなっているが、なんら具体的な動きは報告されていない。中国経済の短期底入れ感が下値を支えているが、積極的に買い上げるような動きはみられず、6月下旬に続いて膠着気味の相場展開が続いている。

 中国の6月新車販売台数は、前年同月比13.8%増の290万4,000台となった。中国政府が景気刺激策の一環で自動車買い替え支援策を強化したこと、電気自動車(EV)最大手のBYDが5月から主力車種の値下げに踏み切り、競合各社を巻き込んだ値引き競争が激化したことなどが、需要を刺激した模様だ。ただし、持続可能性が乏しい無理な販売競争が激化しているとの見方も強く、ゴム相場に対する影響は限定的だった。

 一方、7月9日にトランプ米政権の「相互関税」上乗せ分の停止措置が期限切れを迎えるのに合わせて、トランプ政権は各国に対して新たな関税の通知を行っている。日本と韓国はそれぞれ25%の関税が通知されており、実際に上乗せ関税が発動されると両国から米国向けの自動車・同部品輸出に大きな混乱が生じる可能性がある。

 しかし、マーケットではトランプ政権が本当に通知した関税を発動するのか懐疑的な見方も強く、株価や資源価格に対する影響は限定的だった。トランプ政権の動きが読みづらい状況だが、実際に各国に対して大規模な追加関税を発動すると、米国内のインフレやサプライチェーンの混乱は避けられない状況になる。8月1日が交渉期限として設定されているが、これまでと同様に強い脅しを掛けながらも実際の関税発動には慎重な「TACO(トランプはいつもしり込みする)トレード」ではないかとの見方が、ゴム相場を下支えした。

 供給サイドでは、引き続き中国南部や東南アジアの各地で局地的な豪雨が報告されていることはポジティブ。ただし、産地主導の値上がりまではみられず、OSEゴム先物相場も期近限月にプレミアムを加算するような動きは見送った。

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