【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、上海ゴム相場主導の反発に
連載 2024-11-25
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=360円台中盤まで反発し、約2週間ぶりの高値を更新する展開になった。中国経済の減速懸念を織り込む動きから、11月14日には340.00円まで下落していた。しかし、上海ゴム相場が安値修正の動きをみせたことで押し目買いが入り、安値から大きく切り返す展開になった。
上海ゴム先物相場は、1トン=1万7,000元台後半での取引になっている。週明け18日の取引では1万7,155元まで下落し、約2カ月ぶりの安値を更新していた。しかし、その後は一気に1万7,000元台後半まで切り返す展開になっている。
なにか目新しい売買材料などが浮上したわけではないが、特に意味なく上下双方に乱高下する不安定な地合になっている。引き続き中国政府は積極的な景気対策を打ち出すことを見送っている。来年はトランプ米新大統領の下で、中国からの自動車やタイヤに高い税率の関税を課せられることも警戒される。実際に上海ゴム相場は安値更新サイクルを維持している。
一方で、足元の中国経済に関しては急速な減速傾向には一服感があり、大きく売り込むまでの必要性は認められていない。これまでの金融緩和などの各種景気対策が、短期産業サイクルの悪化にブレーキを掛けている可能性がある。新車販売に関しても、政府の買い替え促進策の期限切れが近づいていることで駆け込み需要が発生しており、10月は5カ月ぶりに前年同月比プラスに転じている。11月と12月も大幅な悪化はないとの見方はポジティブ。
結果的に上海ゴム相場は下値を切り下げるトレンドを維持しつつも、押し目は買い拾われる展開になり、ボラタイルながらも前週比では目立った動きをみせていない。非鉄金属や鉄鉱石なども値動きの鈍さが目立っている。
ウクライナが米英から提供された長距離ミサイルでロシア領域への攻撃を開始したことで、ウクライナ情勢に対する警戒感は強くなっている。このため、ロシア産の供給不安から原油相場が下支えされていることはポジティブだが、ゴム相場を大きく押し上げるような規模の値動きにはなっていない。
タイ中央ゴム市場(ソンクラ地区)のRSS現物相場は、11月20日時点で前週比2.9%高の1キロ=71.98バーツ。一時69.25バーツまで下落したが、上海ゴム相場の反発後は産地相場も上昇に転じている。
産地の需給動向はあまり材料視されておらず、もっぱら上海ゴム相場の値動きと連動する展開になっている。産地では引き続き豪雨報告も目立つが、供給リスクを織り込んでいくような動きはみられなかった。
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