【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、円高と需要不安が上値圧迫
連載 2024-07-29
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=310円台中盤まで下落し、5月15日以来の安値を更新した。為替が大きく円高に振れたこと、日経平均株価の急落が嫌気された。また、中国経済の減速懸念が根強いこともネガティブ。産地相場は底固く推移したが、供給不安より需要不安の織り込みが優先された。

上海ゴム先物相場は1トン=1万4,000元台前半まで下落し、5月13日以来の安値を更新する展開になった。中国経済の減速懸念を織り込む展開が維持されている。中国人民銀行(中央銀行)は7月22日、5カ月ぶりの利下げに踏み切った。景気を下支えする狙いとみられるが、マーケットでは中国経済に対する信頼感を高めるには不十分との評価が優勢だった。非鉄金属や原油、鉄鉱石、石炭相場などが中国の需要不安を背景に値下がりしており、上海ゴム相場も急落こそなかったが上値の重さが目立った。
一方で、他の産業用素材市況と比較して下落圧力が限定されたのは、需要不安と同時に供給不安も抱えている影響だ。タイ中央ゴム市場(ソンクラ地区)のRSS現物相場は、7月25日時点で前週比3.9%高の1キロ=71.18バーツとなっている。
6月から7月上旬にかけては産地気象環境が安定したことが、産地相場を押し下げていた。しかし、7月下旬はタイの各地で豪雨や洪水被害が報告され、供給リスクのプレミアムを加算する動きが優勢になった。熱帯低気圧が発達しており、豪雨が続いている間は産地相場の底固さが消費地相場の値下がりを限定する見通し。USSやラテックスと比較するとRSSの上昇に過熱感も認められるが、まだ産地相場にピークアウト感は認められない状況になっている。
需要不安と供給不安の綱引きになっているため、他素材市況と比較すると値動きの鈍さも目立ったが、消費地相場は安値更新サイクルを維持している。
また、7月は為替環境が一変していることにも注意が求められる。7月3日には1ドル=161.99円まで円安・ドル高が進行していたが、25日時点では一時151円台に突入している。現在のシンガポールのドル建て相場の水準だと、1円の円高・ドル安で円建てゴム相場は約2.0円値下がりする計算になる。急激な円高が進行していることが、円建てゴム相場の上値を圧迫している。
また、世界的に株価が急落していることも投資家のリスク選好性を後退させている。米大統領選を巡る混乱、30~31日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を控えていることなどが、マーケット全体を不安定化させており、ゴム相場も上値の重さが目立った。
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