白耳義通信 第93回
「マルガレータ故郷に戻る」
連載 2024-07-16
鍵盤楽器奏者 末次 克史
7月1日。サッカーの欧州選手権 UEFA EURO 2024 は、スペインがイングランドを下し4回目の優勝を果たして幕を閉じた。2024年6月20日現在、FIFAランキング3位のベルギーは、ノックアウトステージに進出したものの、ラウンド16でフランスに敗れ敗退。1980年の準優勝を超えることはできなかった。実力はありながらも、大舞台でなかなか結果が残せないベルギーチーム。イタリア出身のドメニコ・テデスコ監督の去就も注目されるところである。
さて、今月はメッヘレンのマルクト広場近くに建っているオーストリアのマルガレータ Margaretha van Oostenrijk (NL) Marguerite d’Autriche (FR) について。

オーストリアのマルガレータと聖バーフ大聖堂(筆者撮影)
神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世とブルゴーニュのマリーの間に生まれたのがマルガレータ。兄はフィリップ美公。つまりカール5世の叔母にあたる。父であるマクシミリアン1世により、ネーデルラント総督に任命される。また兄・フィリップ美公の遺児であるカール、レオノール、イザベル、マリアの養育を任された。
マルガレータやカールが住んでいたマルガレータ宮は現在裁判所になっており、中庭には自由に入れる(オープンモニュメントデーには、内部を公開されることも)。
そのマルガレータの肖像画をメッヘレン市がオークションで 53,000 ユーロ(約1,000万円)で購入したと発表。これはロンドンのサザビーズのオークションでメッヘレンの文化評議員がこの肖像画を見たときに、「このチャンスを逃すわけにはいかない」と、専門家に相談にして落札。
この作品は宮廷画家であったベルナルド・ヴァン・オルレイ Bernard van Orley によるもので、マルガレータがテーブルにひざまずいて風景を眺めている様子が描かれている。これまでメッヘレンに飾られていたマルガレータの肖像画は、ブリュッセル美術館などから貸し出されたもので、市が購入した初めての肖像画となる。
マルガレータが統治していた時代、都市は大きく繁栄。得に文化、音楽、建築の分野で花を咲かせました。この肖像画は、今夏、16世紀の都市宮殿であるビュスレイデン宮 Hof van Busleyden にて、公開される予定です。マルガレータが故郷に戻ってきた時、メッヘレンも再び栄えるでしょうか。

ビュスレイデン宮(筆者撮影)
【プロフィール】
末次 克史(すえつぐ かつふみ)
山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。
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