マーケットアナリティクス
天然ゴムの動向、調整売り一巡で反発窺う
連載 2020-11-16
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが10月29日の1キロ=292.90円をピークに11月5日の206.80円まで急落していたが、その後は205~225円水準をコアとした保ち合い相場で値固めを進め、足元では240円水準まで切り返す展開になっている。

上海ゴム先物相場も10月29日の1トン=1万6,635元をピークに11月10日の1万3,780元まで急落していたが、改めて下値を固め始めている。
ゴム相場は10月の急伸地合に対する反動安をどこまで進めるのかが問われているが、ようやく底打ち感が強くなっている。ピークアウト論も議論されているが、少なくとも本格的な値崩れは要求されていないことが確認されつつある。
鍵を握るのは産地相場であり、改めて集荷量の落ち込みが現物相場を押し上げ始めている。タイ中央ゴム市場の現物相場は、11月12日時点でUSSが前週比3.1%高の1キロ=61.84バーツ、RSSが同2.1%高の63.66バーツとなっている。RSSは10月28日の高値82.76バーツから大きく値位置を切り下げた状態にあるが、60バーツの節目ではサポートされつつある。
10月は相場急騰と前後して集荷量が急増していたが、11月入りしてからは再び集荷量の落ち込みが顕著になっている。価格急騰で瞬間的に荷動きが活発化したが、生産環境の改善を伴わない中、再び集荷量が落ち込む動きと連動して、産地相場は下値を固めつつある。
日本の気象庁が発表した最新の「エルニーニョ監視速報」によると、今冬は90%の確率でラニーニャ現象が続き、春も60%の確率でラニーニャ現象が続く可能性の方が高いと報告されている。
ラニーニャ現象の影響で東南アジアでは雨がちな天候が続いており、相次いで台風が襲来する状況は一服しているが、農産物の生産環境全体が不安定化している。同じ地域で生産されるパーム油、ロブスタコーヒーなども天候リスクを織り込んでおり、ゴム相場のみが天候ストレスからフリーの状態を想定することは難しい。あらためて低集荷環境が産地相場を押し上げる動きがみられるかが、11月中旬から下旬にかけてのゴム相場の焦点になる。
一方、米ファイザーが独ビオンテックと共同開発する新型コロナウイルスのワクチンについて、治験で90%以上の感染防止効果が認められたとの発表を受け、投資家のリスク選好性が高まっている。経済活動の正常化期待から原油や非鉄金属など幅広い産業用素材が買われているが、ゴム相場はほとんど反応を示していない。需要環境よりも供給環境に対する関心が高いことが再確認できる。
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