【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、37カ月ぶりの高値更新
連載 2020-10-26
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=220円台まで急伸する展開になった。8月の直近高値205.50円を大きく上抜き、2017年9月以来の高値を更新している。
産地相場の急ピッチな上昇が続く中、期近限月から期先限月まで満遍なく買われており、当限は2017年5月以来の高値となる250円台まで急伸している。
上海ゴム先物相場も急伸している。10月12日に1トン=1万3,000元を突破したばかりだが、19日には1万4,000元、21日には1万5,000元と、極めて短いタイムサイクルで1,000元単位の急騰地合を形成している。為替市場では人民元相場が上昇しているため、本来であれば人民元建てゴム相場は下落しやすい環境にあった。しかし、2017年9月以来の高値を更新する展開になっている。
10月入りしてからゴム市場では急ピッチな値上がりが再開されているが、引き続き産地主導の値動きである。欧米などで新型コロナウイルスの感染被害が広がりを見せていることが警戒されるが、需要不安よりも供給不安に支配された相場環境が続いている。
タイ中央ゴム市場の現物相場は、10月22日時点でUSSが前週比5.5%高の60.60バーツ、RSSが同8.1%高の64.89バーツとなっている。
8月はRSSが60バーツ台に乗せる動きを受けて、集荷量が急増したことが、9月のゴム相場鎮静化を促していた。10月入りしてから再び集荷が落ち込む中、改めて60バーツ台に乗せる展開になっているが、それでも集荷量が増えないことが強く警戒されている。8月の段階で在庫売却が一巡しているのであれば、価格高騰で生産を促すことが求められる。
ラニーニャ現象の影響で東南アジアでは豪雨、洪水、台風などの天候障害が報告されており、増産期でありながら集荷が伸び悩んでいる。また、インドネシアやマレーシアでは新型コロナウイルスの感染被害が広がりを見せていることも、供給制約として機能している。さらにタイでは首都バンコクで大規模な反政府デモが展開されており、政情不安も新たな供給リスクとして認識されている。現段階では生産地に大きな混乱が生じている訳ではないが、警戒感が高まっている。
一方、中国の7~9月期国内総生産(GDP)は前期比2.7%増、前年同期比4.9%増と、安定した成長を実現している。9月鉱工業生産が前年比6.9%増、小売売上高が同3.3%増となったこともあり、中国経済に対する信頼感が高まっている。銅などの非鉄金属相場も急伸しており、欧米などの需要不安を中国の需要拡大期待がカバーしている。
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