連載コラム「白耳義通信」47
「レジ袋有料化問題」
連載 2020-08-17
鍵盤楽器奏者 末次 克史
蝉の鳴き声を朝から浴びるのは何年振りだろうと思いつつも、いつになったらベルギーへ戻れるのか心配になってきているところです。日本・ベルギー間の直行便は、9月末まで運休が延長されることになりました。
最近日本で話題になったことの一つに、コンビニのレジ袋問題があります。もう4、5年前になるでしょうか。ベルギーでもスーパーでレジ袋が有料化されました。有料化されたことがニュースで取り上げられましたが、問題が発生しているという報道はされなかったように記憶しています。
日本の場合は、ちょっと買いに行ける便利なコンビニが至るところにあるので、特に独身男性ともなると、その度にわざわざマイバックを持って行く人も少ないと思われます。昔のように、ちょっと歩けばゴミ箱があるような時代でもないので、袋がないと処分に困ることもあるでしょう。だったら全ての商品の値段を1円あげて、レジ袋をこれまで同様配布すれば良いかというと、有料化制度の主旨に反することになります。
最近は各コンビニ共、ポイントカードを発行しているので、そのポイントをレジ袋と交換しても良いのでは? とも思いますが、レジでのやり取りが増え、混む時間帯では店の売上に影響を及ぼすこともあるかも知れません。
個人的に一番解せないのが、レジ袋を購入しているのに、袋詰めは自分で行う点。スーパーのように、レジと袋詰の場所が分かれていれば、スペースもあるし、自分のペースで袋詰できるので問題無いと思いますが、狭いコンビニのレジ横で、財布をしまわなければならない、袋に詰めなければならないとなると、店員から「早くしろよ」と睨まれているようで、落ち着いて袋詰めも出来ません。後ろに人が並んでいれば、尚更慌ててしまうのは自分だけでしょうか。
マニュアルで決められているから、店員の方も詰めてあげたくても手を出せないという事情もあるのでしょう。レジであたふたしていれば、「お詰めしましょうか?」と、一声掛けるだけで済むと思うのですが、マイバックを勝手に触れられると怒る人がいたり、レジ袋を購入した人だけ詰めてあげるのを見た人からクレームが入ることも想定されているのではないかと思います。何とも世知辛い世の中になったものです。一度、コンビニの店長さんに、どういう理由で袋詰めを客にお願いするのか聞いてみようと思っているのですが、未だに果たせていません。
そんな不便を感じつつも、海外に住んでいると夢のような店であるコンビニ。一番辛いのは、何かあると客からも店長からも責められる店員の方かも知れません。いつもお世話になっています。
【プロフィール】
末次 克史(すえつぐ かつふみ)
山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。
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