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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、中国新型肺炎で急落地合に

連載 2020-01-27


マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=190円水準まで急落する展開になった。1月17日には今年最高値となる208.70円まで値上りしていた相場だが、週末を挟んで中国の武漢市を中心に多数の死者を出している新型コロナウイルスがクローズアップされて金融市場も不安定化する中、原油や非鉄金属などと同様にゴム相場も急落地合に転じた。昨年12月2日以来の安値を更新している。

 上海ゴム先物相場も、1トン=1万3,000元台前半で底固く推移していたのが、一時は1万2,000元割れの急落地合になっている。上海株式相場も急落しており、新型コロナウイルスの脅威に敏感に反応する地合になっている。

 中国国家衛生健康委員会の1月22日時点の発表では、死者9人、感染者440人となっている。中国政府は当初はこの問題の隠蔽を計っていたが、感染被害が拡大を見せる中、本格的な対策に乗り出し始めた。武漢市は事実上の封鎖阻止で交通を遮断し、中国内外に感染被害が拡大するのを阻止する姿勢を示している。

 ただ、1月24日から中国は春節(旧正月)の大型連休を迎えており、大規模な人の移動が繰り広げられることになる。こうした中、新型コロナウイルスがどこまで被害を拡大していくのか、予見可能性がほとんど存在しない状況になっていることが、ゴム市場に対しても緊張感をもたらしている。

 2003年にはSARSの感染被害が世界経済にも大きな混乱をもたらした経験もあるだけに、どの程度のリスクがある動きなのか、マーケットは混乱状態に陥っている。

 一方、産地相場も軟化している。タイ中央ゴム市場では、1月23日時点でUSSが前週比1.9%安の1キロ=41.26バーツ、RSSが同4.6%安の42.79バーツとなっている。年初から消費地相場の動向と関係なく一本調子の上昇地合が続いていたが、消費地相場の急落を受けて調整圧力が強くなっている。

 産地では土壌水分不足に懸念の声も強くなっており、特にタイ、ラオス、カンボジアなどでは降水量の落ち込みが顕著になっている。今後はウインタリング(落葉期)に向かうが、グローバルな気候変動リスクに対する警戒感は根強い。ただ、新型コロナウイルスのリスクを無視して産地主導で値上がりを続けるまでのエネルギーはなかった。

 中国の春節で月末に向けて情報が乏しくなるが、新型コロナウイルスのリスク評価が中心の地合が続き易い。春節中にアウトブレイクを引き起こせば、月末にかけて急落リスクが高まる。一方、コントロール可能な状態に留まると、徐々にゴム相場も落ち着きを取り戻す。

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