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連載コラム「白耳義通信」35

「ベルギーのサンドイッチ」

連載 2019-08-19

 日本は最高気温が40℃を超えたことがニュースになっていますが、こちらベルギーは7月に40℃近くまで上がったものの 8月に入り最高気温が20℃台前半と、早くも秋の気配を漂わせています。

 今夏はお盆に入る前に日本に帰っていました。暫く日本に滞在していると無性に食べたくなるのがフランスパン。外がカリッ、パリッとしていて、中が柔らかいバゲットとも呼ばれるものです。日本ではどちらかというと柔らかいパンが流行っているようでそれはそれで美味しいのですが、毎日食べていると少し物足りなくなってきます。ビックリしたのが高級食パンの値段!ベルギーではフランスパンが100円位から買えるので、一体何本のパンが買えることでしょうか!

 フランスパンはランチ時には欠かせないパンで、庶民は自分が好きなものを挟んでサンドイッチにします。定番はダゴベール(Dagobert)と呼ばれるサンドイッチ。マヨネーズを塗ったパンにハムとチーズ、野菜、トマト、ゆで卵の輪切りにピクルスが挟んであります。それからビールと共に食べたいのがアメリカン(American)と呼ばれるタルタルステーキ(牛肉のひき肉)を挟んだもの。それ以外にもローストビーフと根セロリの千切りを挟んだものや、チキンカレーソースなど、サンドイッチ屋さんに行けば色々な種類を取り揃えています。

 日本のサンドイッチは三角サンドが主流ですが、ベルギーではフランスパンを好んで食べます。スーパーマーケットに行けば三角サンドも置いてあるものの余り人気はありません。通はフランスパンの柔らかい部分は捨てて好きなものを挟むくらいで、カリッとパリッとした食感を楽しみたいのだと思います。

 ただ悲しいかな、最近は多くの街で老舗のサンドイッチ屋さんが店を畳んでしまい安くて美味しいサンドイッチが手軽に食べられなくなってきています。その代わりチェーン店が大挙進出してますが、やはり出来合いのものはカリッ、パリッ感が足りないのが残念です。先日も学生時代足繁く通ったサンドイッチ店が潰れたと聞き非常にショックを受けています。こんなことが新聞のニュースになるということは、サンドイッチが人々の生活に欠かせないものになっている証拠でしょう。

 ベルギーに来られた際は是非お昼時にサンドイッチ店へ寄られてみては如何でしょうか。

【プロフィール】
 末次 克史(すえつぐ かつふみ)

 山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。

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