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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、当限高、期先横ばい

連載 2019-06-17


マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努

 
 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=200円台中盤、TSRが160円台中盤でやや上値を抑えられる展開になった。産地相場の高騰が続く中、東京ゴム相場も当限は連日のように年初来高値を更新する展開になっている。しかし、期先限月は上値追いに慎重姿勢を見せ、横ばいから小幅安と動意を欠いている。1週間を通じて、期近高・期先安と限月間でまちまちの展開になった。売買高も伸び悩んだ。

 タイ中央ゴム市場の現物相場は、6月13日時点でUSSが前週比6.0%高の1キロ=55.56バーツ、RSSが同6.0%高の59.75バーツと急伸傾向が続いている。連日の年初来高値更新だが、上昇ペースはむしろ加速気味になっている。

 日本の気象庁は6月10日発表の「エルニーニョ監視速報」において、「エルニーニョ現象が続いている」、「今後夏はエルニーニョ現象が続く可能性が高い(40%)」と報告している。引き続き南米沖の監視海域の海水温度が基準値を上回った状態が続いており、典型的なエルニーニョ現象の発生になっている。インドシナ半島、インドネシア、インド南部の高温が「エルニーニョ現象時の特徴に一致していた」と総括されており、異常気象が天然ゴムの供給不安も高めている。

 産地集荷量は緩やかに増加しており、降水量も例年と比べて特別に不足している訳ではない。ただ、土壌水分が不足がちになっているだけに、天候リスクに対しては敏感になっており、供給不安が産地相場を押し上げるフローが続いている。

 これは当然、消費地相場も押し上げることになり、東京ゴム相場も当限は6月6日から連日の高値更新サイクルに突入している。

 一方で期先限月は6月7日を最後に高値更新が止まっている。エルニーニョ現象による供給不安が強くなっていることは確かだが、あくまでも減産期から生産期への移行が最大で1カ月程度遅れるか否かといった議論であり、年間を通じた需給見通しに対する影響は限定的ではないかとの見方が反映されている。

 ただ、その結果として当先の逆サヤ(期近高・期先安)は13日終値時点で29.90円まで拡大しており、過熱感が強くなっている。このため、当限の上昇が続くと期先限月も改めて水準を切り上げる可能性が高まっている。引き続き、産地相場がどこまで上昇を続けるのかが焦点になっている。

 上海ゴム先物相場は、1トン=1万2,000元台前半で方向性を欠いた。5月貿易収支で内需の弱さが確認されたが、その一方で中国政府が景気刺激策を打ち出しており、強弱材料交錯の中で明確なトレンドを打ち出せなかった。

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