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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、市況対策に動き出したタイ

連載 2018-07-23


マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、1キロ=170円台前半をコアとした狭いレンジで揉み合う展開になった。為替相場は円安気味に推移したが、上海ゴム相場の上値が重く、安値修正の動きが活発化することはなかった。ただ、逆に大きく売り込むような動きもみられず、完全な膠着状態になっている。出来高も極端な低迷状態にあり、売買見送りムードが目立った。

 上海ゴム相場も1トン=1万~1万0,500元をコアとした狭いレンジ内で膠着化した。年初来安値圏ながらも概ね前週の取引レンジを踏襲している。

 タイ中央ゴム市場の集荷量は安定している。特に目立った天候不順なども報告されておらず、価格低迷状態ながらも供給環境に目立った変化は見られない。ただ、7月19日時点の現物相場は、USSが前週比1.6%高の1キロ=44.17バーツ、RSSが同0.9%高の46.03バーツと、小幅ながら上昇している。

 単純な調整高の可能性もあるが、タイで市況対策の議論が活発化していることには注意が必要である。7月16日に副首相と農業協同組合省幹部が会合を行い、ゴム農地面積の削減策を検討していることが明らかになっている。1,800万~2,000万ライ(1ライ=1,600平方メートル)のゴム農地面積に対して、向こう5年にわたって年間20万ライの削減を目指すものとなっている。

 まだ実際に市況対策の導入が決まった訳ではないが、生産国政府が動きを見せていることには注意が必要である。

 ゴムからの作替えを促すといっても、足元ではパーム油など他の農産物価格も低迷しているため、補助金を交付しても面積調整が順調に進むのかは不透明である。そもそも、過去にこの種の市況対策が価格を押し上げた例は殆んどない。ただ、これをきっかけに輸出量規制などのより強力な市況対策が導入されると、産地主導の上昇圧力が発生する可能性もあるため、生産国政府の動向には注意が必要である。

 「生産期→需給緩和→価格低迷」の流れに対して、「価格低迷→生産国の市況対策→価格反発」の流れを打診する局面に移行し始めている。従来の弱気一色の市場環境に、市況対策という新たな不確実性が持ち込まれているのが現状である。

 もっとも、7月のゴム相場は上下どちらの方向にもトレンドを形成しようとする意欲を欠いている。東京ゴム市場では出来高の減少が顕著であり、開店休業状態と評価しても問題がない状態になっている。安値圏での狭いレンジ相場に居心地の良さを感じている向きが多く、突発的な急伸・急落が売買を活性化させるか否かも重要な論点になっている。

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