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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、根強い米中間の通商リスク

連載 2018-07-17


マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、1キロ=170円台前半をコアに方向性を欠く展開になった。

 7月6日に米政府は350億ドル相当の中国製品に対する課税措置を発動したが、これによって短期的な材料出尽くし感が広がる中、一時176.00円まで上昇した。しかし、アジア時間11日早朝にトランプ政権が更に2,000億ドルの中国製品に対する課税案を発表すると、改めて通商リスクを織り込む形で170円台前半をコアに上値を圧迫されている。もっとも、出来高は低迷しており、金融市場や他素材市況がボラタイルな展開になる中でも、ゴム相場は方向性を欠いた。

 上海ゴム相場は1トン=1万元台中盤をコアに揉み合う展開が続いている。米中貿易戦争のリスクが素材市況全体の上値を圧迫する中、中国市場でも銅や石炭相場などは急落している。ただ、ゴム相場に関してはボックス圏内での小動きに留まっている。通商リスクの蒸し返しが人民元相場安も促している影響もあるが、リスクオフ環境でも人民元建ての上海ゴム相場を下押しする動きは限定されている。やや戻り売り優勢ながらも、1万元の節目を割り込むまでの勢いはなかった。

 産地の集荷量は安定している。日本では西日本が豪雨被害に見舞われたが、東南アジアに関しては適度の降雨で農産物生産には良好な気象環境が報告されている。ボルネオ島などの一部で多雨傾向もみられるが、大規模な洪水被害などは発生していない。台風シーズン入りで天候リスクが高まっていることは間違いないが、タイ中央ゴム市場の集荷量も価格低迷環境ながら安定している。

 供給サイドでむしろ警戒されるのは、タイ南部でイスラム過激派組織の活動が活発化していることだ。6月末から7月初めにかけて、ゴム農園を狙った爆破テロが頻発している。足元ではテロ活動が一服しているが、同様の動きが長期化すると、ゴム農園で労働者が確保できなくなるリスクには注意が必要である。

 現物相場は、7月12日時点でUSSが前週比1.0%、RSSが同1.9%高とやや強含んでいる。ただ、ここ最近の最安値付近の値動きであり、産地主導で安値是正を進めるような動きは見られなかった。

 米中貿易摩擦で対ドルでは円安傾向が強くなっていることは、円建てゴム相場に対してはポジティブである。ただ、上海安と円安の強弱材料が交錯する中、明確な方向性は打ち出せていない。

 安値ボックス傾向が強くなっているが、東京ゴム170円、上海ゴム1万元の節目水準が維持されるかが注目されている。

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