【特集】モビリティを支えるゴム企業
「日本ゼオン」、モビリティ分野向け製品の情報を 専用サイトに集約
ラバーインダストリー 2026-05-08
「2週間限定無料公開」
モビリティ、医療・ライフサイエンス、半導体──日本ゼオンが開発・製造する合成ゴムなどの製品は多様な業界で活躍している。こうした中で同社は2025年3月、モビリティ分野向け製品の情報を一望できる「モビリティ関連情報サイト」を公開した。同サイトでの情報発信を通じ、中期経営計画の成長4分野の1つとして掲げた“モビリティ分野”でのさらなる成長と、持続可能なモビリティ社会の実現に貢献する製品群を開発品も含めて掲載する。新聞、雑誌といった既存のメディアに加えて、自社の情報発信媒体に“オウンドメディア”を活用する企業が増える中、その一端を担う同サイトを立ち上げた経緯と、サイト制作の裏側について、経営企画統括部門広報室の春日裕二氏に聞いた。

経営企画統括部門 広報室
春日 裕二 氏
豊富な情報を1つのサイトに
日本ゼオンはナフサ由来のC4、C5留分を活用し、合成ゴム、高機能樹脂、光学フィルム、手袋用ラテックス、香料など多様な製品を生み出し、世に送り出している。ゴムでいえば、かつて「特殊合成ゴムのデパート」と称されたほど、そのラインアップは多岐にわたる。
豊富なラインアップを広く周知するため、同社ではコーポレートサイトの内容を充実させるとともに、特定製品については専用サイトを開設するなど力を入れてきた。これにより情報量の拡大という目的こそ果たしたものの、ウェブサイトが乱立した状態となり、ユーザーがニーズにマッチする製品を見つけづらくなるという課題が浮上していた。
「ウェブを通じて、課題解決につながる製品を探すユーザーは多い。そうしたユーザーに見つけてもらいやすくなるよう、まとまった形での情報掲載を目的に開設したのが“モビリティ関連情報サイト”だ」(春日裕二氏)
同社では、全社横断の情報発信サイトとして「オープンイノベーションプラットフォームZEON NEXT」も開設している。ZEON NEXTはあくまでも“共創パートナーの探索”を、モビリティ関連情報サイトは“モビリティ分野での実績拡大”をそれぞれ目的としており、狙いが異なる。これらの違いを明確にするためにも、「モビリティ関連情報サイトでは、各事業部の売り上げに貢献するようにコンテンツを作っていく」(同)構えだ。
ユーザーの持つ課題を軸にサイト設計、他部署の製品も提案可能に
モビリティ関連情報サイトでは特に、同社が中期経営計画で“成長分野”として重点に置く「モビリティ分野」に焦点を当て、ユーザーの 課題解決に繋がる製品情報をまとめている。
サイト内では、「製品カテゴリ」「用途」「課題」という3つのフィルターを介して製品検索ができる。制作段階では、このカテゴリー分けを重要視した。
「これまでは、各製品がモビリティ分野のどの課題に貢献するのかというアピールが十分ではなかった。今回、ユーザーの持つ“課題”を軸にサイト設計したことで、他事業部の製品でも提案が可能になった。担当部署にこだわらない、全社挙げての製品提案が可能になることから、事業部間の横串戦略に活用できるサイトに仕上げた」(同)

カテゴリー、用途、課題別に製品を検索できる仕様に
ユーザーも、社員も活用しやすいサイト設計
サイト制作では、社内外問わず、サイト利用者にとって使いやすいサイトに設計することも重要視した。必要な製品の情報へスムーズに辿り着けるようページ数はなるべく少なくした。併せてボタンの配置などで問い合わせに繋がりやすい導線の設計も取り入れた。
導線の設計においては、ユーザーの職種別に、サイト内での行動を定義してサイト構成を進めた。いわゆる“要件定義”で、例えば、ユーザーの職種が購買担当であれば、原材料のページにアクセスしやすくするというもの。
また、職種ごとにアクセス経路も想定した。ユーザーとの最初のコンタクトはウェブ、メール、展示会など様々だが、「初めから検索エンジン経由を想定するのではなく、オンライン、オフライン問わずどこでその職種のユーザーに接触するかを考えることが重要」(同)だという。こうした、要件定義による緻密な導線設計が、今後のアクセス数獲得に繋がっていく。
事業部間で異なるモチベーションに対するアプローチ
同サイトの制作にあたってハードルとなったのが、主導役となった広報室と事業部門とでモチベーションが異なることだった。「実は、社内でのウェブを通じた情報発信の需要はあまり高くなかった」(同)という。その理由として挙がったのは、「一般的に、原材料は製品ごとに特有のスペックがあるため代替しにくい。ユーザーもある程度固定されているので必要最低限の情報掲載で十分」という意見だ。これは原材料メーカーであれば共通して持ちうる意見だが、 「会社としては同じ場所に留まるより、踏み出 すことが重要だと考えている。広報室としても、ずっと挑戦してみたいことだった」(同)。
こうした広報室の想いに賛同したのが当時のモビリティ事業推進室(現在は組織変更)。タッグを組み、各事業部長にモビリティ関連情報サイトの必要性を丁寧に説明することで、社内ほぼすべての事業部(子会社含む)の賛同を得てサイトを立ち上げることができた。
事業部横断の情報発信に求められる“人を巻き込む力”
現在、同サイトに掲載している製品は、サイト制作に賛同した部署の協力により掲載しているもの。各部署から選出された“ウェブサイト推進担当”が、広報室と共にサイト運営に関わっている。全社横断の情報発信には、こうした各部署の協力が欠かせない。今後の継続的なサイト運営と、内容の拡充を目指し、春日氏は「現在も各部署と定期的に面談の機会を設けており、なるべく対面での実施を心掛けている。信頼関係を築くために、まずは顔と名前を覚えてもらことが大切だと思っている」(同)という。
今後はサイト内コンテンツの拡充も目指す。同サイト内に設置した「Zeon’s Solutions(ゼオンソリューションズ)」は、各製品が生み出すソリューションの紹介を想定したページで、現在は同社のカーボンニュートラルへの取り組みや、合成ゴムにおける環境配慮、開発品などの紹介記事を掲載している。どの記事も、図や写真などを用いて分かりやすく解説されているものばかりだが、「オープンにできる情報とそうでないものを取捨選択しながら取り組んだ」(同)という。適切な範囲での情報開示を行うためにも、各事業部との密な連携が欠かせないことが分かる。
同サイトを通じた問い合わせへの対応も、各事業部の営業担当者との連携が重要になる。問い合わせを受けた後は、製品採用に至るまでの打ち合わせ実施、サンプル評価といったプロセスは、それぞれの営業担当に引き継がれるので、スムーズな引継ぎのためにも、各事業部とのコミュニケーションが欠かせない。
既存ルートに留まらない、新たな販路開拓で全社レベルの売り上げ拡大を目指す
日本ゼオンのモビリティ関連情報サイトは、公開から約1年が経とうとしている。今後は各製品の情報拡充のほか、展示会情報の発信やウェビナーの実施を視野に入れる。同サイトを通じた情報発信の意義について春日氏は「例えば、グローバルではまだ当社の名前が知られていないケースも多い。開拓の余地があって、そこに アプローチを広げて行こうという時に、ウェブサイトを通じた情報発信は大きな力を発揮すると思っている。もちろん、既存の顧客に安定供給することも重要だが、別の打席に立ち新規顧客や他の用途開拓をしていくことも重要だ。現在はモビリティという枠で取り組んでいるが、ここでの運用が軌道に乗れば、中期経営計画で掲げている他の成長分野にも展開していきたい」と抱負を語った。
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