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【ひと】

元事務局長國武典彦氏、関西ゴム技術研修所で400人以上の研修生を支える

その他 2018-06-21


 「ゴム技術者は我々ゴム業界の手で育てよう」と、創設から56年の歴史を重ねこれまでに2,314人の卒業生を輩出した関西ゴム技術研修所(山口幸一所長)で、11年にわたって事務局長を務めた國武典彦氏がこのほど勇退した。

 先の5月30日開催の日本ゴム協会定時社員総会・表彰式ではその功績も含め「第56回ゴム技術有功賞」を受賞した。

 國武氏は1972年に熊本大学大学院工学研究科修士課程を修了後、宇部興産に入社し高分子研究所でポリオレフィン、1,2ポリブタジエン、EPDM等の合成を行い製品化のため基礎研究から応用研究に貢献した。

 86年にはニッタに入社しゴムやウレタン製品の評価解析システムを構築。96年同社のならやま研究所所長に就任すると大学、研究機関、企業とのオープンイノベーションを積極的に活用し、研究の場を拡大発展させている。

 一方、日本ゴム協会には88年に入会、90年に関西支部幹事、97年に関西支部副支部長、2000年に関西支部から推挙され本部理事に就任。07年にニッタを定年退職し、日本ゴム協会関西支部事務局長となった。 

 関西ゴム技術研修所においては99年から運営委員と2001年からは講師も勤めた。

 事務局長となってからは関西地区を中心にゴム企業の技術者育成に貢献、400人以上の卒業生を見守ってきた。

 思い出を振り返ってもらった。

 「多くの研修生と過してきたが、ゴムに関する技術や知識以上に大半の時間は研修生が日々抱える社会人としての悩みの相談相手だったような気がする。一方で、研修生から若い力も頂いてきた。女性の研修生も増えた。バレンタインデーのチョコレートの枚数で実感した」(國武氏)。

 研修所の機能として見直す点もあった。「3・11の東日本大震災の時、我々は震源地から離れた関西の地にいたが、研修生のひとりに東北出身者がいた。女性だったが地元の家族の様子が分からず心配していた。幸いにも家族の皆さんの無事は確認されたが、研修所には出身地を考えると関西から以西だけでなく広い地域から受け入れており、全国規模で考える危機管理の必要性を感じた」(同)と言う。

 見た目は厳格な指導者に見える。研修生からはどのように見られていたのだろうか。

 6月5日の第56回卒業式の卒業生代表謝辞で「今回勇退される國武事務局長には研修生全員が大変お世話になった。今回、我々第56期生と同じくこの研修所を卒業されることになる。それは我々と同期生ということになり、今後は同期生として深くお付き合いをいただきたい」と述べている。國武氏に贈られた最高の感謝の言葉である。

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