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約250億円を特別損失として計上

旭化成、MMA、CHMA、アクリル樹脂、SBラテックスの事業撤退およびアセトニトリルの供給体制再構築を決議

原材料 2025-06-02

 旭化成は5月27日、同日開催の取締役会で、メタクリル酸メチル(MMA)モノマー、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、アクリル樹脂(製品名:デルペット、デルパウダ)とSBラテックスの事業撤退およびアセトニトリルの供給体制再構築方針(川崎精製工場閉鎖)を決議したと発表した。

 MMAモノマーは、2026年9月に生産・販売終了。CHMAは、2026年3月に生産・販売終了。アクリル樹脂は2026年9月に生産終了・2027年9月に販売終了。SBラテックスは2027年9月生産終了・2027年12月販売終了。アセトニトリルはユーザーとの協議により別途決定し、韓国の子会社「東西石油化学」で製造した製品を日本国内に供給する。

 今回の決議により、2026年3月期決算において、事業構造改善費用約250億円を特別損失として計上する見込み、また、該当製品群の事業に携わる従業員190人は、同社内で再配置を行うとしている。

 同社は、「中期経営計画2027 ~Trailblaze Together~」の基本方針のひとつに、構造転換や生産性向上による資本効率改善を掲げ、事業のポートフォリオを見直すとともに経営資源の再配分を進めている。

 今回の構造転換の対象である川崎製造所のアクリル樹脂事業、SBラテックス事業およびアセトニトリル事業は1963年に、またMMA事業は1974年に操業を開始。50年以上操業してきたが、近年、経済環境の低迷が長期化する中、原料コストの上昇による競争力の低下に加え、中国における石油化学製品の大規模な生産能力の増強を背景とした需給環境の悪化により、該当製品群の稼働率は低水準で推移しており、厳しい状況が続いている。

 同社では、こうした状況は構造的かつ不可逆的であると判断し、川崎製造所において製造している該当製品群からの撤退を決断した。

 撤退後の川崎地区の将来構想については、「戦略的育成」と位置付けているエナジー&インフラ事業のイオン交換膜法食塩電解事業や水素関連事業の最重要拠点として経営資源を集中。同事業の持続可能な成長と競争力の強化を図っていく。

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