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種子の有効利用で環境問題解決を目指す

横浜ゴム、未利用資源天然ゴム種子の国際共同研究に参画

原材料 2024-11-06

 横浜ゴムは9月、天然ゴム種子の有効利用により環境問題解決を目指す国際共同研究「未利用天然ゴムの種の持続的カスケード利用による地球温暖化およびプラスチック問題緩和策に関する研究」に連携機関として正式に参画した。

 同研究は外務省と文部科学省の支援のもと、科学技術振興機構(JST)、国際協力機構(JICA)、日本医療研究開発機構(AMED)が共同で実施している「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」の研究課題に採択されている。

 同研究は東京農工大学大学院工学研究院応用化学部門の兼橋真二准教授を代表とし、世界最大の天然ゴム生産国であるタイと日本の2国間の産官学からなる研究体制で実施する国際共同研究。現在、タイヤの原材料を含め工業的に使われているほとんどの天然ゴムはパラゴムノキの樹液から作られており、その種子の多くは種苗の更新に使われるものを除き廃棄されている。

 同研究ではカーボンニュートラルな未利用資源であるパラゴムノキの種子の持続可能な有効利用技術確立を通じて、地球温暖化などの環境問題や新しいバイオマス事業の創出による農業労働者の経済格差問題の解決への貢献を目指す。

 同社は参画に先立ち昨年からタイの天然ゴム加工会社Y.T. Rubber(YTRC)を通じて天然ゴム農園の現地調査に協力しており、8月には兼橋准教授がYTRCを訪問し、東京農工大学からYTRCに対して研究協力に対する感謝状が授与された。

兼橋准教授から感謝状を受け取るYTRCの滝田昇社長(左)


 今後は、パラゴムノキの種子の持続可能な採取システムの確立に向けて連携を強化し、当社の事業にとって欠かせない天然ゴム産業における新たな収益源の創出により労働環境の改善に貢献する。

 ■研究概要
 ◇研究課題名=未利用天然ゴムの種の持続的カスケード利用による地球温暖化およびプラスチック問題緩和策に関する研究

 ◇代表者=兼橋真二氏(東京農工大学大学院工学研究院応用化学部門准教授)

 ◇具体的課題=①天然ゴム農園の現地調査(パラゴムノキの種の持続可能な採取システムの確立)②パラゴムノキの種からの植物油脂(RSO)の搾油と精製③RSOの有効利用技術開発(グリーンマテリアル、グリーンエネルギー)④ライフサイクルアセスメント(LCA)による環境負荷評価、事業経済性・合理性の検討⑤人材交流・人材育成・技術研修⑥国際コンソーシアム(社会実装に向けた国際拠点)の形成

 ◇共同研究相手国/主要相手国研究機関(採択時)=タイ/チュラロンコン大学(代表機関)、カセサート大学、ワライラック大学

 ◇日本研究参画機関=大阪公立大学、京都工芸繊維大学、東京大学、日本工業大学

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