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市原市の廃棄物減量、再資源化を推進

デンカ×東洋スチレン×市原市、「ポリスチレンケミカルリサイクル」の事業連携協定締結

原材料 2024-06-03

 デンカ、東洋スチレン、市原市は5月24日、「ポリスチレンケミカルリサイクルに関する事業連携協定」を締結した。総合化学メーカーのデンカと、その持分法適用会社でポリスチレン製品メーカーの東洋スチレンの両社が、4月に稼働したポリスチレンケミカルリサイクルプラント(千葉県市原市)を活用し、市原市で発生した使用済みポリスチレン製品のケミカルリサイクルに取り組む。協定を締結した3者は5月29日に市原市役所(千葉県市原市)の会見で、概要について説明した。

右からデンカ執行役員・ポリマーソリューション部門長原敬氏、市原市長小出譲治氏、東洋スチレン代表取締役社長石塚賢二郎氏


 ポリスチレンのケミカルリサイクルは、回収された使用済みポリスチレン製品を一度細かく砕いて熱分解させ、液状油の原料(スチレンモノマー)の状態に戻してから再生し、再利用する方法。樹脂ではなく、原料まで戻すことで、得られたスチレンモノマーを再度重合し、新品同等の品質と特性を持つポリスチレンを再生産する。新品同等のため、リサイクル製品の用途や色・形を自由に設計することができるほか、劣化がないため繰り返し再生し循環使用することも可能。単純焼却した場合と比べ、CO2発生量を半減することができる。

 今回の協定はデンカと東洋スチレンがデンカ千葉工場内に稼働したポリスチレンケミカルリサイクルプラントを活用し、市原市との連携により同市の使用済み廃棄物の減量および再資源化をさらに進めるもの。市原市では2021年から食品トレー等の使用済みポリスチレン製品の回収に、市民・企業・行政が一体となり取り組んできた。このほど、試験回収の結果を踏まえ、「社会実装の段階へと進めることができる」(小出譲治市原市長)と判断。今年7月1日から市内の公共施設等14カ所で拠点回収を開始し、ケミカルリサイクルを実施する。回収は発泡白色トレー、発泡色付きトレー、発泡スチロール、納豆容器、乳酸菌飲料容器の5品目が対象となる。

 3者の主な役割分担は、市原市は拠点での回収、収集運搬、中間処理、使用済み食品トレー等の売却を実施。東洋スチレンは、市が中間処理した使用済み食品トレー等の購入や使用済み食品トレー等を原料とするポリスチレン再生樹脂の製造を行い、デンカはポリスチレン再生樹脂の製造支援等を担う。

 小出市長は会見の席上、「今回の事業成果をサーキュラーエコノミーの市原モデルの創造へとつなげ、『市原から世界を変える』という強いメッセージを発信していく」と強調。デンカの原敬執行役員・ポリマーソリューション部門長は、「当社では2030年までの事業計画の中で、サーキュラーエコノミーの推進を掲げている。市原市で稼働したケミカルリサイクルプラントはその第一歩で、社会実装し世界を変えていくという大きな目標の達成には、多くの皆様のご協力が必要になる」と述べ、東洋スチレンの石塚賢二郎代表取締役社長は「この協定を契機に、ポリスチレンがサーキュラーエコノミーに適した素材であることを社会に示していく。市原市とさらに密接な協力体制を築き、地域社会の発展に貢献していく」と抱負を述べた。

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