光学フィルム事業の用途開発から生まれた広帯域化コレステリック液晶素材
日本ゼオン、革新的な視覚効果を持つ新素材を開発
原材料 2024-03-14
日本ゼオンは、光学フィルム事業などで培った独自技術によって、光の反射を利用したさまざまな視覚効果を実現できる「広帯域化コレステリック液晶」素材を開発した。
同製品は、広帯域化(反射光波長が可視光域以上の広帯域にわたること)コレステリック(分子をらせん状に配列した構造。らせんのピッチ長により反射する色を変えることが可能)液晶で、独自設計の液晶材料および特殊な塗工プロセスにより、コレステリック構造のらせんピッチをナノオーダーレベルで制御し、フィルムに成形したもの。
これまでにない新しいデザイン素材としての利用や、偽造防止目的での活用に加え、美術作品、服飾品、エンターテインメント用途など、機能的でありながら人々に楽しさも提供できる可能性を秘めている。なお、同素材は研究開発品で、今後の市場開拓に向け、開発を進めていく方針。
同製品には、透明なシートでありながら、表と裏で別の図柄が見える「表裏反転タイプ」。スマートフォン画面の光を当てたり、偏光機能を持つビューワーで見たりすることで、図柄が浮かび上がる「潜像タイプ」。肉眼で見える図柄や色が、偏光機能を持つビューワーを通すと見えなくなる「消像タイプ」――の3つの視覚効果がある。
■材料としての特長
◇高い汎用性とデザイン性=フレークの印刷はスクリーン印刷などの印刷技術を用いることができ、曲面にも使用可能。また、デザインに制限はなく、さまざまな表現ができる。
◇豊富なカラーバリエーション=幅広い色を表現することが可能。コレステリック構造のらせんピッチをナノオーダーレベルで制御することで、光の反射を利用して長波長の赤から短波長の青紫まで、さらに同色でも淡色から濃色に至る色を表現できるほか、すべての可視光を同時に反射させて銀色(無着色の金属光沢:金属成分なしの薄膜単層での銀色発色は世界初/同社調べ)を表現することもできる。
◇金属を不使用=金属光沢を持つ外観を表現するのに金属を一切使用しないため、金属アレルギーの人が身に着けるものにも使用できる。
◇高い模倣難度=独自素材と特殊製法で作られているため、模倣が極めて困難。
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