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積水化学工業と

東海カーボン、CCUSの実用化に向けてパートナーシップを締結

原材料 2023-04-20

 東海カーボンと積水化学工業は、二酸化炭素(CO2)を一酸化炭素(CO)へ高効率で変換する技術(ケミカルルーピング反応技術)によって生成されたCOを用いた、各種炭素素材・製品の製造技術(CCU)およびCO2を固体炭素として回収・貯留する技術(CCS)の実用化を目指し、パートナーシップを締結した。

 気候変動課題が深刻化し、世界中で温室効果ガスであるCO2を大幅に削減することが求められているなかで、CCUやCCSはCO2の大気中への放出を削減する技術として注目されている。また、炭素製品は、自動車や建築、機械、電子部品などさまざまな用途で使われているが、原料の多くは化石由来の物質であり、製造工程におけるCO2排出量も大きいため、グリーン化が大きな課題となっている。

 CO2を炭素に直接変換する技術はすでにあるが、変換効率が低く、CCU実現のためにはさらなる技術開発が求められている。また、現在のCCSはCO2を地中や海底に直接貯留する方法が一般的だが、その貯蔵方法では圧力が必要となり、貯留施設の立地に制約が生じる。今後拡大するCCS需要を鑑みると、固体炭素としての貯留のような、立地の制約を受けず、圧力に依らない貯留形式の開発が望まれている。

 現在、積水化学工業はケミカルルーピング反応技術において、独自開発した触媒と反応プロセスによってCO2を 90%という高い転化率でCOに変換する革新的技術を開発している。一方、東海カーボンは、各種炭素素材・製品の製造・評価技術や設備を活かし、各種形態(固体、液体、気体)の原料を用いて、これに適した組成配合・製造方法により製品開発を行っている。

 ケミカルルーピング反応技術により炭素製造に由来する排ガス中のCO2を一度COへ変換し、そのCOを炭素へさらに変換して炭素製品を製造するCCU技術とCO2を直接貯蔵するのではなく、固体炭素として貯蔵するCCS技術の実現を目指す。

 炭素製造時に発生するCO2を削減することを目指すと同時に、前者は2段階に変換することで、CO2を炭素に直接変換する技術よりも高い変換効率を見込み、後者は圧力を利用する必要がなくなることで貯蔵場所を広げ、また、化学素材やエネルギーの備蓄になる。

 今後、同パートナーシップにおいて環境負荷の優位性や経済性が認められれば、パイロットプロジェクトを進め、2030年をめどに商用化を目指す。炭素素材・製品製造時のCO2を削減し、CCUにより炭素に変えるとともに、炭素製造時の排出CO2に限らず、幅広いCO2源のCCSにより世界の脱炭素化と資源循環に貢献する。

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