リチウムイオン二次電池のさらなる安全性向上に期待
日本ゼオン、リチウムイオン二次電池安全性試験におけるセパレータ可視化技術に貢献
原材料 2022-11-11
日本ゼオンは、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構による、リチウムイオン二次電池(LIB)の釘刺し試験※(短絡安全性試験)におけるセパレータ可視化に共に取り組み、その技術の確立に貢献した。
セパレータは電池内の正極材と負極材の間に配置され、リチウムイオン伝導を確保しつつ、電極間の短絡を防止する役割をあわせ持つLIB主要材料の内の1つ。近年、LIBの安全性向上に関する技術が着目され、セパレータの熱特性と強度の向上が求められると共に、そのメカニズムの検証が待たれていた。
今回、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構と取り組んだセパレータ可視化技術により、釘刺し試験の挙動を operando観察※することに成功した。同技術は、セパレータの役割、機能をより明確にし、LIBのさらなる安全性向上に役立つことが期待されている。
今回の技術の詳細は、11月10日に福岡国際会議場で行われた第63回電池討論会にて発表された。 電池討論会で早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構と共同で発表した「超高速X線スキャナを用いたセパレータを可視化した LIBにおける短絡安全性試験のoperando観察」は、セパレータ表面にX線散乱断面積の大きい金属の酸化物微粒子を塗布することで、短絡安全性試験中にセパレータの挙動をX線スキャナによって可視化し、直接観察することに成功したもの。
従来は短絡安全性試験中におけるLIBセル内部の電極短絡現象と熱暴走初期過程の解析を行ってきたが、今後はセパレータの電池安全性に対する役割や機能が明らかとなり、セパレータ材料開発の加速が期待される。
日本ゼオンではセパレータ用接着剤(製品名:AFL)の開発を通して、セパレータ表面への材料塗工技術を磨き、実績を積んできた。今回、同社の同技術を応用し酸化物微粒子を最適な状態に塗工することで、セパレータの機能を維持しながらもその可視化を可能とした。
今回の技術の成功により、同社はLIBのさらなる安全性向上に貢献するとともに、より高度な材料塗工技術を蓄積することができるようになる。
※釘刺し試験=LIBの代表的な安全性試験。LIBに釘を刺して内部短絡(ショート)に対する耐性を評価する。
※operando観察=試験中に起きている現象の直接観察
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